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病の細道

 

第73回 奇跡の手術 (2002/04/21)

 

昨日、最後まで体にいれられていた抗生剤注入用のチューブが抜かれた。抗生剤は3日前より中断されており、血糖値の測定もやらなくなった。毎日の測定は体温、血圧、脈拍、酸素濃度だけになり、心配していた感染症の兆候もなく、いよいよ最終的な検査の段階を残すだけになった。

医師からは今週中の退院という見通しが告げられた。心臓自身の機能回復を見るにはもうしばらく時間がかかるだろうが、術後10日で体にいくつかの変化があらわれはじめている。まず肌全体のあれがなくなり、顔色もよくなった。

心臓の動悸もほとんど意識することはなくなった。手足の先のシビレ感も軽減してきた。視力自体が回復したわけではないが安定し、動体の認識力が上がってきたような気がする。

頻繁な離床もそれほど苦痛ではなくなった。歩行に関してはまだ無理して早く歩いたり、長距離を休まず歩いたりするような段階になっていないので、短距離をゆっくりしか歩いていないが、特に疲れることも無くふらつく度合いも減ってきたように思う。

自分の場合、心筋梗塞を起こしても痛みは感じなかったので、普通の場合のように劇的に痛みから開放されるという自覚はない。そのへんはちょっと損した感じもするが、そのぶん心臓の発作の恐怖に悩まされなかったわけだから、これは贅沢というべきだろう。

手術跡の傷が痛んだりすることはない。もちろん胸には傷跡がはっきり残っているし、チェストドレイン官の挿入口の跡も肉が盛り上がるまでにはなっていない。しかし特別な消毒などは不要でシャワーのときに石鹸で洗う程度だ。

手術によっては、機能自体が失われたり、また回復に長期間のリハビリを要するものも少なくないが、心臓バイパス手術はそうしたことはなく、術後の回復も早いので負担は少ない。

自分の場合バイパスは2本の冠動脈だけで、残りの1本はできなかった。また既にダメになってしまっている心臓の筋肉は回復することがないので、心臓の機能はどの程度まで回復するか分からない。しかし心筋梗塞で突然死するようなリスクは当分ほとんどなくなった。

成功率98%。心臓バイパス手術は奇跡の手術といわれている。経験してみて誠にその通りだと思った。

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