第46回 心筋負荷シンチ検査 (2002/02/08)
昨日、心筋負荷シンチという検査を受けた。何かものものしい名前の検査だ。要するに、心臓の筋肉がどれくらい活動しているかを調べる。
心臓は筋肉でできている。普通の筋肉は骨の回りに付いているが、心臓はどの骨にもくっついていない。血管のみにつながっていて、いわば中空に浮いているようになっている。
筋肉が動くには酸素と栄養が必要だが、心筋梗塞などを起こすとそれを運ぶ血液が行かなくなりダメージを受ける。最悪の場合は筋肉の細胞が死んでしまう。心臓と脳の細胞は再生しないといわれており、いったん死んでしまうと回復することはないといわれている。
しかし、ダメージを受けても何とか動いていたり、仮死状態の筋肉は、心臓バイパス手術をして血液の流れをよくしてやれば回復する可能性がある。心筋負荷シンチ検査ではその可能性を調べることができる。
検査室は割と大きな部屋で、設備とすればルームランナーとCTをコンパクトにしたような専用X線撮影機があるだけでがらんとしていた。奥には診察室があり、専用のトイレも付属している。大勢の人が一度にできる検査ではないので個別のVIPルームといった感じだ。
検査は2回にわたり朝9時からと午後2時から約1時間半ぐらいにわたって行われた。特殊な造影剤を注入して血液の流れを撮影するので、前日の深夜から飲食はすべて禁止された。
1回目の検査では、ルームランナーの上で早足で歩いて心臓に負荷をかける。十分に脈拍と血圧が上がったところで造影剤を注入する。最近あまり歩いていないので不安だったが思ったよりも歩けた。だんだんルームランナーのペースが早くなって胸や息の苦しさよりも足の筋肉が張ってきた。8分後もう限界かと思えるときに造影剤を注射し、血液をめぐらせるためにさらに1分歩く。
すぐに撮影機のベッドに寝かされ、両腕を万歳した状態で固定された。円筒状の撮影機は胸のまわりをすこしずつ回転しながら撮影していく。終わるのに30分ぐらいかかった。そのあいだ動けないのでなかなか大変だった。とくに左肩に四十肩の後遺症がまだ残っているので万歳の状態は痛くてつらかった。
しかし呼吸が落ち着いてくるとだんだん爽快な気分になってきた。本当に久しぶりに運動らしい運動をしたので心臓が喜んでいるような気がした。腕をあげているのでウインドサーフィンをやって
いるときのことをしきりに思い出した。空は快晴。富士山を望む本栖湖にはいい風が吹いている。セールを引き込むをボードはスピードをあげ、プレーニングして疾走していく。最高の気分。
1回目の検査が終わると車椅子で別の部屋のベッドに移った。2回目の始まる2時まで安静にしていなければならない。もちろん食事や水分も取れない。ただ寝ていればいいのだが3時間は結構ながく感じた。
2時に再び検査室にもどった。もういちどルームランナーをやるのかと思っていたが、何もせず撮影するだけだった。撮影は30分ずつ2回にわけて行われ、あいだに造影剤の注射があった。結局、午後の検査は安静時の血液の流れを撮影するものだった。
終了すると、検査前の緊張が解け、しかも運動をした爽快さもあってとてもホッとした。ロビーの椅子にもたれ帰りの車をまっているあいだ安堵感に満たされた。
検査の結果がでるには3日ぐらいかかるらしい。負荷時と安静時の血液の流れを比較することで機能が低下している筋肉の部位がわかるらしい。心臓バイパス手術の効果が予測できるわけだ。
自分の場合、心臓は長年にわたり病んできたようなので、手術でどの程度の筋肉が回復するかわからない。結果がよければいいのだがどうだろうか。
今日朝おきたら久しぶりに足の筋肉が少し痛かった。
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