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病の細道

 

第41回 心臓対面 (2002/02/03) 

 

心臓カテーテル検査の結果説明を次の日の朝うけた。眼底検査の結果は、写真の現像に時間がかかりわかるまでに10日程かかったが、それに比べると格段に早い。心臓の場合は緊急度が違うからすぐに現像できるようになっているらしい。

写真は普通のレントゲン写真のようにシート状になっているのかと思っていたが、映画のフィルムのようにロールになっていた。幅は35ミリ、ロールの径は15センチぐらいだろうか。

オープンリールに収められたフィルムは、読み取り装置にセットされ、映像がモニターに映し出される。フィルム装置である点を除けば普通のビデオ再生機とかわらない。静止したりコマ送り、逆や早送りもできるようになっている。

映像は白黒。最初に名前や生年月日、撮影日なとが写し出される。映画のはじまりと同じだ。次にいきなり心臓らしき映像が写し出された。動画だ。なんとなく静止画のように思い込んでいたから少しばかり驚いた。

医師は心臓の模型を手に映像と対比しながら細かく説明をしてくれた。映像は写真的に見ると古いトーキーを見ているようでいまいちな感じもしたが、プロが診断に使うには、素人のぱっと見に見栄えがよいよりもこのほうがかえって良いのかもしれない。

いろいろな角度からの映像があったが、基本的に血管の状態を診断ためのものだからそんなに派手な動きがあるわけではなく特におもしろいわけでもない。しかし最後のほうで鼓動する心臓の全体像が写し出され思わず見入ってしまった。「これが自分の心臓か」。意外とダイナミックに動いていた。

初めて見る自分の心臓は感動するというよりも、戸惑いのほうが多かった。自分の声を録音してはじめて聞いたときのような感じだ。自分自身だとは思えない。だがまぎれもなく自分のものなのだ。

多かれ少なかれ誰でも自分のことは自分自身が一番わかっていると思い込んでいる。しかしそこには自分の中に自分の見たことのない世界があった。

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