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病の細道

 

第19回 体重 (2002/01/12)

 

入院してから20日あまり、体重が5kちかく減った。80kぐらいだったが今日の体重測定で75kを割ってしまった。身長175cmだから標準体重は105を引いて70kということになる。だからまだまだオーバー気味なのだといわれればそうかもしれない。体重が重すぎれば心臓の負担も大きくなるしいろいろな障害もでやすくなるという。

でも、自分は若いころから肥満気味であり、学生のころ最高94kもあった。やはり気になって、マラソンや水泳をしたり、時には菜食主義を試したこともある。効果あって一時は78kぐらいまで減った。しかし困ったこともあった。難しい本を読んだりする気力や集中力までもが減ってしまったのだ。

これは単に減量のしかたが適切でないのかもしれないが、同じ傾向はその後なんどか経験した。当時は理論物理の勉強をしていたこともあって、スピン排他律で有名なパウリのことを調べていた。彼もとても肥満だった。あるとき健康に悪いと言われて減量したが、パウリも集中力が低下して研究が進まなくなり結局もとに戻したそうである。

そんなこともあり、自分は「体重でものを考える」という気持ちをもつようになった。肥満者の都合のよい自己弁護という側面もあるかもしれないが、肥満よりも集中力が弱まることのほうが重大な問題に思えた。

今回20日で5kも減ってやはりこの傾向を感じている。ベッドでは姿勢が悪いせいもあるが、こうして文章を書くのもすこしおっくうになってきた。ましてやプログラムを書くのはほとんどやる気がおきない。確かに体重のせいばかりではないだろう。制限された生活や病気の不安もあるかもしれない。

しかし今後も今と同じ糖尿食をつづけるとすれば体重はどこまで落ちるのだろうか。減量に苦しむ女性からは贅沢だといわれそうだが、このまま体重が減って考える力がなくなってしまったら、自分には何が残るだろうと考えてしまう。何も考えずぼんやり暮らす生活というのもわるくはなさそうだが、それがどんなものか今は考えもつかない。

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