第7日 台湾一周完了

 

基隆港2000.4.7 (7日目)

基隆の街にでてみるとすぐ東側が海になっている。といっても全面がそうなっているわけではなく河口のような感じで港が海から入り込んで三方が陸になっていてまさに天然の良港といったところだ。船が小型だったころはとてもいい大きさだったかもしれないが、現代のような大型船が普通になるとすこし狭く二重に並んで停泊していたり、深さにも問題があるらしくしゅんせつ船がでて作業をしていた。

この港には沖縄からの船が到着する。基隆のほかでは島の反対側にある高雄にもいくらしいが、やはり北側に位置し沖縄と近いこちらのほうが身近に感じられる。外国船が入港するということはここが国際貿易港であることを意味しているが、とくにそれを思わせるエキゾシズムが備わっているわけでもない。看板も他の台湾の都市とそう 変わらない。

春巻き? 結構うまい街はそれなりに整備されているが自動車の交通量が多く、海ばかりではなく陸のほうも限界を超えている。安全優先は重要だが道路を横断するたびに歩道橋か地下道を渡らねばならず大変だ。階段は長く途中には踊り場もなく、手すりをたよりに山登りの格好になってしまった。さすがにいやになって地元の人たちと同じように車の間をぬって車道を直接わたるようになってしまった。歩道橋がかえって危険をつくりだしているわけだ。歩道も段差が多い。台湾のどこでもそうだが、バイクがいたるところにとめてあり歩道が駐車場化してさらに歩きにくくしている。

夜市で有名な地区では固定屋台が並び大変な賑わいだ。たべものの種類も豊富で店ごとに工夫をこらしている。その一軒に入り海鮮粥を食べてみた。たぶん台湾に着いたばかりなら感激したかもしれないが、すでに似たような食べ物を一週間も経験しているので舌が贅沢になっていた。概して南部のほうがたべものはおいしかった。

台北駅に戻ってきた早々に駅にもどり台北行きの電車にのった。基隆と台北の間は横浜と東京の距離ぐらいで1時間もかからない。山といっても東部のように厳しくなくどちらかといえば小高い丘といった程度だが途中は平地ばかりというわけでもない。山腹にも高層ビルが建ち街並みがとぎれることはない。昼過ぎに台北駅に到着。これで台湾を一周した。残念ながら途中夜間の移動もあったが変化の多い風景に見飽きたことはなかった。

台北駅で一服して新竹に向かった。新竹はサイエンスパークという科学関係の研究所があつまっている特別地区がありパソコンの会社もあるらしいのでいってみることにした。ホテルも台北よりも安そうだし空港にもいきやすそうだ。高雄に行くときには台湾最速の自強号でいつのまにか過ぎてしまったが電車では2時間くらいかかった。

走りぱなしで2時間とういわけではなく途中駅で急行の通過待ちが何回もあり半分ぐらいの時間は動いていない。日本のように新幹線が別の軌道になっているのではなく在来線と特急列車が同じところを利用しているので各駅停車の電車は通過待ちが多くなる。自強号に乗ったとき案外短距離で乗降りする人が多く不思議だった。電車がこうだと多少費用が高くついても急行に乗ろうとするのも合点がいく。

新竹は発展中の街らしい活気がある。基隆などと違ってどことなく垢ぬけていてハイセンスな店が多い。台北のような濃密さにはとても及ばないがパソコン関係の店もあちこちにある。駅舎は日本の統治時代、それももっとも豊かだったころにつくられたらしくシンプルながらとてもやさしい姿をしている。威圧するようなところはなくレトロ感覚で親しみやすい。そのせいか統治時代の負の遺物として新しい駅につくりかえてしまうにはここの人でさえ惜しいと思っているのかもしれない。

レトロな新竹駅ハイセンスな店が多い工業区の変電所工業区の入口

新竹サイエンスパークは駅からバスで15分くらいのところにある。サイエンスパークといってもテーマパークではなく科学技術の研究所があつまっているだけで遊ぶ施設があるわけではない。すぐ近くには高速道路のインターチェンジがあり、大きな変電所や汚水処理場、住宅なども整備されている。入り口にはゲートがあって監視員もいる。とくにチェックするわけでもないがやはりここが特別の地域であることを感じさせる。

店などがあるわけでもなくただ四角い箱のような建物が続いている。大きなキャンパスのようだ。看板の地図でパソコン関係の会社をさがしてみたが馴染みの名前もみあたらず、夕方で暗くなってきたので早々にひきあげあげた。雑誌の写真でみたパソコンの会社はもっとごみごみした街中にあるような雰囲気だったので、ここがパソコンの基地なのかどうか分からなかった。

台湾は世界でパソコンのマザーボードの7割以上を生産している。現在、自分のつかっているパソコンのマザーボードはすべて台湾製だ。台湾を訪れてみたかったのはそんなことが大きな動機のひとつだった。しかし実際に歩くと国中にパソコンがあふれているわけでもなく、インターネットも普及しているとは言いがたい。だがそれだけ未開拓ともいえる。教育熱心なこの国のことなので急速に発展しやがては世界的なパソコン王国になるにちがいない。

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