２０００．３．２９（水）  （２日目）

７時起床。メールを書く。ためしにホテルの電話からメールを送信してみたがやはり国際電話は通じない。しかたないのでどこか外で送信できることを期待して風太にパソコンを担がせて１０時ごろ街へ出た。まだ本格的な活動は始まっていないようでのんびりしている。ガイドブックによると歩いて５分くらいのところに昆虫博物館があるので行ってみることにした。台湾は世界的にも有名な蝶の宝庫だそうでマニアにはたまらないところだそうだ。

昆虫博物館は成功中学校の施設で学校のなかにある。この中学は台湾でもトップレベルの学校のようで、入り口に孫文の胸像が置かれ高い志をもつようにという雰囲気をかもしだしている。試験中なのか休み時間でも階段などに座って皆な勉強をしていた。３階の生物学教室に行き来意を告げると４階の博物館に案内してくれた。公立学校のせいか無料。

博物館は４教室ぐらいをぶちぬいてつくられている。細長いスペースを上手に利用していろいろなブロックをじぐざくにレイアウトしてありとても見学しやすい。それにしてもなんたる蝶の数。すごい種類だ。こんなにたくさんの種類をもつ生物はほかにあるのだろうか？　しかも美しく、標本でも生きたままの精彩をはなっている。はまってマニアになってしまう人がいるのもうなずける。

とりわけ興味深かったのは両性具有の蝶で右と左で雌雄を成し羽の大きさも模様もちがう。案内板には国宝級とかかれている。蝶からしてみれば飛びにくくて苦労していたかもしれない。他の蝶からもいじめられたりしていたかも。でもこうして最重要の標本になれたのだからよかったのかもしれない。

博物館の一番奥には講義室があり、壁には蝶の羽をはりあわせて作ったＡ４大の絵が額に入れられて何点か飾られていた。とくに青いメタリックな羽ばかりを集めてでつくられた作品は目を引いた。そういえば歌手や夜の蝶を呼ばれる人達はこんな模様の服をきている。しかしこの作品には変に媚びるところはなくただただすばらしい。

見学を終えて外にでると暑くなっていた。あたりには台湾医大などもあって文教地区になっているせいか落着いた感じがする。街路には大きな木が植えられ美しく気持ちいい。沖縄にはこんなところはない。台湾の人々は木をとても大切にしているように感じる。沖縄では補助金漬けの土建工事がはばをきかせているせいか簡単に木をきってしまう。最近はサミットにむけて海の見晴らしを良くするためと称して海岸の大きな木は軒並み切り倒されている。なげかわしい限りだ。

今回の旅の大目玉、台湾の秋葉といわれる光華商場に向かう。歩いて１５分ぐらいすると「電脳」の看板が林立する通りにでた。これはすごい。昨日のＮＯＶＡはひとつのビルにかたまって店がはいっていたが、こちらは通り全体が電子街だ。まさに台湾の秋葉。どの店もコンビニくらいの大きさで、秋葉のような大型店はないが、品揃えはとても豊富で初めてみるパーツもある。ケースの本場だけあってユニークなものや奇抜なものなどなかなか愉快だ。

何軒かでメールを送れないか相談してみたがダメだった。英語があまり通じない。工場には英語がわかるアメリカ帰りの技術者は多いようだが店員にそこまで期待しても無理なのかもしれない。国内需要人口の少ない台湾はその立場上、高度な商品を輸出しなければやっていけないので、国内需要をあてにできる日本よりも英語のわかる人が多いと思っていたのだがどうもそうでもないらしい。

この電気街で目立つのはＣＤＲを売っている店だ。１００枚をパックした円筒状のシリンダが山のように積まれている。バラ売りもしていて種類ごとにかさねられている。中心には芯棒がたっていてまるでゲームのハノイの塔のようだ。こんなにＣＤＲの需要があるということはそれだけ不正コピーが多いということなのだろうか？

路地裏の食堂で昼飯を食べた。台湾ではよくみかけるバイキング方式で適当におかずを皿に取り勘定をしてもらう。店には７０過ぎの老人がいて日本語でいろいろ解説してくれた。味はそこそこだったが合わないものもあり風太は半分くらい残してしまった。

一通り見た後タクシーで台北駅に向かった。明日の高雄行きのチケットを購入。台湾一の高速列車で一人８４５元。駅は大きくて立派だ。日本だと駅とデパートが一体になっているところが多いがここは駅だけが独立している。中国を代表する北京西駅のような派手な威容はないが中はきれいで北京よりもずっといい。

表の出ると雲で日がかげり気温は２０度になっていた。風にふかれながら歩いていたら体が冷えてしまった。ホテルに戻りベットに横になったがだんだん寒くなってきた。風邪薬を飲み毛布をかけてちじこまっていまった。夕方、気温も上がったせいか楽になる。夜はヤキソバと餃子を食べた。味はいまいちだった。