インド・カルカッタ (35)
「田森さん、靴下持ってる?」
えっ、また突然です。
「暑いんでほとんどはかないですが、荷物の奥には入ってると思います。」
「それ穴は開いてないだろう、開いてたとしたら捨てているだろ。」
「そうですね、開きそうですけど、まだ開いてないので持ってると思います。」
「インド人の靴下見た事あるか。鉄道の寝台車で靴脱いだ所見るとほとんどのと言うより、全部の奴の靴下、穴開いてるよ、ましな奴のは穴かがってあるけど。」
インドでの汽車旅行今回が初めてなので、インド人の靴下など見たことはありません。
「靴下はいて、靴はいてる奴はまあ一応は貧民ではないよな、貧民なら裸足だよ、まして汽車の旅は彼らにとって一張羅を張りこむ場所よ、俺らは、機能的なGパンで汚れても良い格好するけど、同じ場所でも背負ってる国力で格好まで違ってくるよ。乗っかってる国力って言った方がピッタリかな。」
たぶん、乗っかってるの方がピッタリだとは思います。
「一張羅でも穴あき靴下の普通の人と、カジュアルでGパンに穴無し靴下の普通の人は同じレベルでの普通の人かい?」
「ちょっとは違います、でもそれは文化とか言葉が違う事も絡んでの違いもあるので....。」
うまく言葉が出てきません。全部は言い終わらない内にかぶせるように高田さん話し始めました。
「同じレベルでの事なら交流は有るけど、片方の国力に違いがあってそれぞれの国の中で普通ならレベルってかなり高低が付いてくるよ、そんなときは高い方から低い方へ文化って流れていくぜ、それは流入と言うよな。」
「田森さんあんたがなんの芸無くとも、着てるGパンにカメラで十分文化流入はたしてるって。」
「高田さん、だけどもそれだけじゃー。」
言葉が続きません。
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