インド・カルカッタ (34)
「だからさ、俺らと出会う現地に人って、モダンロッジの回りの人たちだって。」
「旅行者は所詮、よそもんよ。昔獅子舞とか、にわかとかおごぜいう旅芸人こなかったか、中には梅毒なんかで鼻が落ちた親爺がいたり。」
そういえば、お祭りとか、正月には色々な人達が来ました。見せ物小屋なんてのもありました。
「俺らもにたようなもんだぞ、都会じゃさすがに外人旅行者珍しくはないけど田舎では珍しいからな、インドでは昔から陸続きであちこちから人入って来ているから、日本みたいにビックリはされないけどな。」
「そんな俺らが現地の人とどう触れ合うんだ、俺はまだ柔道つう芸あるからな、芸人としてはまあまあというとこよ。池野さんとか、あんた田森さんどうすんの?」
「おれ、ハシシ! 現地のリキシャワラ(人力車夫)との交流にはピッタリ。」
池野さんまた混ぜっ返してきます。女の子と話していりゃー良いのに。
わたしは、なんも出来ません。無芸の上、大食でもなく、普通よりちょっと食うかな程度、「センズリ」と言おうと思ったのですが気分的にちょっと。
「うーん。...........あんまり無いですね。」
「あんまりでなくて、無いんだろう?」
まだ語調が「!」でなく、「?」であったことに救いがありました。
「はあー、そういわれれば、そのような。」
「日本で普通の人が、現地で普通の人と出会って後どうすんの。向こうは外国人の芸を期待してるわけよ。それがない時は、代わりにあんたが持ってる高価なもの、カメラとか時計な、半分もらえないかなと期待しながらいじる喜びがある。だいたいどんな貧乏旅行者でも最初の頃はカメラくらい持ってるから普通のインド人より物持ちよ。」
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