インド・カルカッタ (24)
包帯に包まれた左足首が出てきました。精一杯の作り笑いしながら足指さしました。すぐ髭の親爺は視線を元に戻し話し始めました。無視されたようです。
でも最初の事務的な冷たさとはずいぶん違って話がかなり弾み始めたました。話題はイギリスの話になっているようです。リーダー格のイギリス人は英語の不得手な私でもわかるくらいきちんとした英国の正統な英語をしゃべっているようです。髭親爺も口調が変わってきました。最後はなにやら冗談を言って終わりました。
「大丈夫だったんですか?」
高田さんが答えてくれました。
「大丈夫もそうでないのも、もう汽車走っているから乗ってるしかないんだけど、このままでかまわんみたいだな。イギリスの女の子の威力は大きいよ俺らだけだったら多分駄目だったぜ。」
「そんなもんですかね。」
「そうだよ、元植民地の軍隊と主人の国の女性だからな。あいつら、イギリス人と話しているだけで、幸せな気分になる連中だから、しかも女性だし、日本でも同じようなことあるけどな。」
「利用できるものは利用させてもらわんとな、一緒に旅行するとき、日本人だけで固まるより、ヨーロッパ系の白人とコンビ組んだ方が楽だよ。特にインドとかパキスタンは元イギリス領だから、イギリス人がベストだな。」
「中近東南下してくるときそういう組み合わせ良くあるんですか?」
「おー、案外ある。向こうは日本人癖ないし、どえらく悪い奴はあまりいないし、基本的に真面目だから、旅行のパートナーとしては良い訳よ。でもな、イギリス人のブルーアイにはまいるよ。」
「何ですかブルーアイって言うのは。」
白人の外人さんは青い目の人が多いには多いでしょうが。
「根本的にこっちを同じレベルで見てくれないことな、冷たい目と言うことだな。教授に対して助教授、社長に対して副社長、先生と生徒、なんて言う関係ならいい人に見えるけど、一旦俺らが、教授とか先生になろうとすると相手の目がブルーだったのに気付く、そんな感じだな。」
うん、よくわからんが何となく理解できます。
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