インド・カルカッタ (22)
気楽に軍隊専用車だよと言われても、やっぱびびるじゃないですか。
「これ乗ってて良いんですかね。」
「だってさ、他の客車全部満員よ、見たろデッキまで一杯だぜ座る場所さえないよ。その前にデッキにもはいれんよ。ちょっとタイミング遅れると汽車がホームへ入ってきたときにはもうパンパンだよ。ここしかないじゃん。」
池野さん、それはその通りではありますが。
「いいって、寝台車とか一等車のデッキも悪くはないけど、車掌とか乗客がうるさいからな、いい奴にあたるといいんだけど。ミリタリーは案外穴場よ、文句言う奴が少ないから降ろされるまで乗ってりゃいいよ。」
そんなもんでしょうか。若い兵隊が何人かホームと客車を出たり入ったりしてますが、ちらっとこちら見るだけでだれも文句言いません。
「ヘイ、ヘイ、カモン。」
突然池野さんホームへ向かって叫びました。ホームには外人の女の子4人ずれの旅行者が空いてる客車探してウロウロしていました。私たちもインドでは外人なんですが、日本から見て外人、つまりインド人でもない日本人でもない場合はやはり外人と言った方がピッタリです。
「ノット、クラウディッド、ヒア」
外人の女の子答えました。
「バット、ミリタリーコーチ」
池野さんにっこり笑って
「ノープロブレム、ステイアフター、10ミニッツ、ウェン、トレインスタート、ウイー、キャノット、ゲットオフ」
「ソー、ティル、ネクストステイション、ノープロブレム。ゼン、トライ、アゲイン。」
インドの列車は、各客車が独立していまして、隣の列車に移ることが出来ません。食堂車など他の車両に行く場合には、列車が停車しているときホームに一旦降りてから移動しなければなりません。
動き出してからは次の停車駅までその車両にいるしかないのです。だから出発までデッキに頑張っていれば次の停車駅まではすくなくとも安泰です。パトナ行きは長距離列車ですから次の駅までは1時間半とか2時間ありますから2回頑張れば数時間は一般二等車自由席の地獄を体験しなくていいことになります。
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