インド・カルカッタ (21)
9時過ぎになってホームへ列車が入ってきました。この頃になるとホームは荷物持った乗客で一杯です。席取りに行った2人がどこにいるかなんて事はもうわかるはずありません。列車が止まる前にもう何人かは窓から体ねじ込んでいます。怒号が飛び交っている車両もあります。これは今の私には出来る話ではありません。ホームの外れのティースタンドで待っていた方が正解でした。
列車がホームに完全に止まって10分ほどしたら乗客の動きが落ち着いてきました。正確に言えばデッキまで人が溢れてもう乗れなくなって、派手な押し合いへし合いが無くなったと言った方が早いのでしょう。
ホームの上も人が少なくなってきました。これなら私でも歩いて2人の乗った車両を探せそうです。二等らしい車両の横を何台か歩きました。人が溢れている車両は多分2等です。池野さんもいない、高田さんもいません。9時20分になっています。
2等の最後らしい車両の先にも何台か車が連結してありました。そちらのホームは人がいません。一等か寝台車かとにかく2等の自由席でないことは確かです。もう一度Uターンして探そうと思いました。
「おーい、おーい、田森さんこっち、こっち。」
3つ先の車両のデッキから池野さん手振ってます。
「そっちでしたか、今行きます。」
彼らが乗っていた車両のデッキは2人以外誰もいません。客車の中見ると兵隊が乗っています。
「これ、こりゃ何ですか。兵隊が乗ってるじゃないですか。」
「ああそーだよ、ミリタリー専用車だよ。」
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