タイ・バンコク (34)
食事終わってデザートも出て、ジャスミンティーも飲んで満足です。これ以上ストレスの貯まるナンパなどとは思ったのですが、ナンパに行くのは坂田さんであって、私ではありません。一人プラス4人の付添はパキスタン航空へ向かって移動を始めました。
ガラス越しにパキスタン航空のカウンター見るとなるほど際だってかっこいい人が一人います。ところが私ら、この航空会社にはとりあえず用事がありません。どうするんだろうと坂田さんの顔を見ました。
彼はそのままずんずん事務所の中へ入っていきます。少しは躊躇するのではないかと思ったのですがむしろ躊躇したのは私らで、私の目の前で事務所のガラスドアがばたんと閉まりました。もう一度ドアを押して中に入ったときには坂田さん、パキスタン航空の時刻表を手に取っていました。
時刻表を手に取ったまま、カウンターへ近づきそのままその人の前に座りました。年の頃は20代半ば、容貌はエキゾチック、タイとパキスタンの混血の人のようです。
「ハイ」
坂田さん話しかけます。
「メイアイヘルプユー?」
タイの人には珍しく声の低い人です。でも落ち着いたいい声です。
「ヤー、ドウユウハブ、コンセション、フェアー、トゥ、インディア?」
インドとパキスタン仲悪いのにバンコクから直行便飛んでいるはずありません。
「ノー、ウイードントハブ、エニイ、コンセションフェア、メイビー、トラベルエージェント、ハブ。」
そりゃそうです、航空会社のカウンター直接では割引航空券などあるはずありません。
「ドウユウノウ、グッドワン、ウイードントハブマッチマネー、プリーズ、テルミー、チーピスト、エージェント。」
「アイハブ、ノーアイデア、バット.....。」
会話がとぎれなく続いていきます。私らでも理解できる単語です。同じ事を喋れるかというとノーです。聞いて理解だけは出来ます。
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