タイ・バンコク (19)
「ま、それでお袋無事パリへ着いたわけ。2週間ちょっといたのかな。」
「最初の4,5日は久々の親孝行て訳で一通りの場所に連れて行ったよ、だけど俺も仕事持ってたし、お袋の世話ばっかりしてるわけにもいかんし。近所の一通りの安いレストランと雑貨屋と食料品店教えておいて、仕事にいったんよ。」
「さすがにちょっと心配だったけど、家に帰ると部屋は片づいてるし料理は出来てるわで、一人にしておいた初日から全然めげてないの。」
「昼飯はどうしたのと聞いたら、適当に残りもんで食べてしまったと言うわけ、近所の食い物屋割とうまくて安いから無理しないで食べに行った方が楽だよと言ったら、昔の人だね、もったいない、昨日の残りもんもあったしって。」
「それからおれお袋日本へ帰るまで楽させてもらったよ。食糧事情も朝飯と晩飯がきちんと摂れるようになって体重が2,3キロ増えちゃったよ。」
私 「買い物なんか、言葉全然喋れなくて大丈夫だったんですか。」
「観光地と違って、下町はどこも似たようなもんよ。親切だよ、それに複雑な物買う訳じゃないし、食べ物とか生活必需品なら手に取れば解るって。醤油は日本から持ってきてたし、日本食はないにせよ中華風の物なら少しは手にはいるし。」
「それにお金の単位知らなくとも、そうはだましたりしないしね。2日もあれば金の計算くらいなら慣れるし。」
考えてみれば、息子が何年か、何ヶ月か住んでいるところならふらっと訪れた観光地と違って住み勝手は良いはずです。
「こういう話だけなら、そう自慢する話ではないけど、うちのお袋の凄い所はこれからだよ。」
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