タイ・バンコク (18)
「前もって手紙はもらっていたけど、空港ついてからお袋が電話するなんて事出 来ないじゃん。電話の使い方してわからん訳だし。到着の日と便名はわかっていたけど空港ですれ違ってね、俺ら親子見送りとか出迎え苦手の方だから、普通は出迎えなんかいかないけど、はるばるパリだから。やっぱさー、一応親子じゃん。 空港で予定の便聞いても、今日は飛んできてないと言うしさー、手紙に書いてある日付は10日ほど前の事だし。」
「それでどうしたんですか。」
小林が聞きました。
「2時間ほど待って仕方ないんで下宿に帰ったよ。そしたらなんとお袋ちゃんと下宿にいたよ。そいで一言、”健一遅かったね”だってさ。そりゃーねーよな! 俺だって時間に遅れないようにきちんと予定の便に間に合うように出かけたんだぜ、日本からの便予定通り飛ばなくて、別の航空会社で到着したんだ。 普通俺出迎えにいくような事しないから、迎えに来てるとは思わなかったみたい で空港の案内所に俺が書いたあのサインボードを見せてさっさと市内へ向かったんだわ。」
「普通ならタクシー辺りにするじゃん。海外最初なのに、サインボードもって電車とバス乗り継ぎよ。少し迷ったみたいだけど。サインボード指さしてにこにこしてたら、色んな人が教えてくれて、下宿までたどり着けたみたいで。 まあ凄いと言えば凄いわ。」
「下宿のアパートにたどり着いても、息子いないからどうも確信持てなくて、 ”SAKATA,SAKATA”の繰り返しで、管理人の親父は”ウイマダム、 ウイマダム”」
「管理人は、顔似てたので俺の母親だと直ぐわかったみたいだけど、本人は実際息子が住んでるのかどうかはわからんわけで、やっと確信持てたのは、管理人がジェスチャーで息子はぼーず頭かと聞いたときだった。」
「パリの時は今よりもっと髪短くしてたし、俺芸術家だしな!」
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