タイ・バンコク (13)
4月3日、土曜日。土日は手続き関係のお役所、航空会社、銀行がぜーんぶお休み。従って旅行者は観光に励めばいいのでしょうが、土日祝祭日は観光地は混んでちっともいいこと有りません。
タイソングリートには今日本人が10人くらいいます。ほとんどの者が急ぎの予定を持っているわけはなく、朝から皆レストランでボーとしています。一日中レストランにいるわけもいかず、結局私ら坂田、田森、中村組は私の部屋で花札する事にしました。沖縄で暇つぶしに買っておいたのがこんなところで役に立つとは。もう一つ役に立ってるのが、沖縄で買ったビーチサンダルでした。最近ではずーっと、靴など暑くてはけないのでバスに乗ってどこかに行くのでもこのスタイルです。シンガポールあたりから、トレッキングシューズはリュックの底にしまい込んだままでした。
青学の連中が3人、私と、坂田、松原、合計6人。今のタイソングリートでは一番の派閥です。土曜日の昼間はほかの宿泊客達皆どこか観光に出掛けたようです。部屋で大騒ぎしているのは私たちだけのようです。
「猪、鹿、蝶」「坊主に松」「赤短、青短」朝飯賭けての花札はだんだんねつ帯びてきます。ほかに誰もいないのでドアは開けっ放しでゲームに熱中です。涼しい風が廊下から入ってきます。いつの間にホテルの従業員が2,3人部屋に入ってきて珍しそうに花札を見ています。
トランプと違って、どう見ても花札はカラフルな図案です。自然とか動物とか風景が書いてあることくらい誰が見たって解ります。それにタイ人は賭け事好きです。マッチの軸をチップ代わりにゲームは進みます。いつの間にかさっきの従業員になくなって代わりにえらい派手なねーちゃんたちがわいわい言いながら見ています。
どう見ても素人ではないし、レストランでよく見かける顔もいました。
「坂田さん、彼女ら何ですか?」
「ああ、2,3日前からこのホテル常宿にし始めたみたいだけど。」
「上の階に女の子数人、何時もいる部屋有るよ。」
「ええっそうなんですか、今まで外から出張して来る子いましたけど常駐ですか 駅の前のロッジとかわらへんですね。」
そうです、駅前のロッジは、かなり凄いのがいる所有りました。あれなら中華街の冷気茶室の方が若いし数倍ましに見えました。 貧乏旅行者と言っても、タイ人から見れば外貨持ちの小金持ちです。常駐しても十分商売になるし、実際なったに違い有りません。
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