タイ・バンコク (6)
「悪かないですよ。全然悪かないですよ。」
中村が相づち打ちました。拍手でもするのではないかなと言うくらい感動してるようでした。
私も実は、感動してました。彼の語り口のうまさと体験の積み重ねはあったにせよ、ボヘミアン風な旅行の一つの解決でもあったように思えたからです。 外人租界地「タイソングリート」で管巻いているより数倍ましに思えました。
「でもなー、やっぱ出発するときはつらかったぜ。船が岸から離れたら、もう気分は旅行中になったけどもな。」
それもあたってるように思えました。
「そりゃそうと、ここ一部屋25バーツだよな、この近くにもっと安いとこないかな。15バーツくらいならいいけどな。」
突然、風景がバリ島近くの小島のビーチからラマ4世道路の歩道に切り替わります。
私 「安い所なら駅の右側の商人宿安いです。しゃぁけど、汚いし飯もうまくないですよ。一部屋15バーツで泊まれたかな。20バーツはとったように思いますが。」
坂田 「探せば、多分15バーツくらいの所有るよ。飯もまあバンコックなら食えねーことねーだろ。インドネシアの田舎よりましだろう。」
私 「そうですね、あっ、あっち側どうです。駅のあっち側」
坂田 「あっち側ってどこ?」
私 「あっちですよ、ほれあの汚いどぶ川の向こう側。橋渡ってすぐを川沿いに右に曲がると中国人街に出ます。そこ安い宿何件かあったように思います。トルコはあるし、冷気茶室はあるし、食い物も屋台で食べればかなり安いよう思いますが。」
坂田 「へー、明日行ってみるか。」
私 「今日行きませんか、今から。トルコええ所有ります。シンガポールまじめな国ですから。バンコック来るとほっとします。」
坂田 「トルコー!あんまり気乗りしねーな。そっちはあんた専門だろ」
坂田さん、相棒の松原さん見て言いました。
松原 「ゲヘヘ、トルコいいね。いくら位よ」
私 「150バーツくらいです。本番は一応無いことになってます。マジックミラーの向こう側に女のこがずらーと並んでいて、選べるんですよ。」
「自分らも行く?」
中村達にも聞いてみました。
中村 「今日はいいです。」
「自分は?」
小林に聞きました。
小林 「自分もいいです。」
田中に聞きました。
「どうする?」
田中 「あっ、いいですよ。行きますよ。」
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