vol.077 タイ・バンコク (43)
私は、言葉が直ぐ出ませんでした。多分マジックミラーになってるだろうガラスの向こうを、固まったまま凝視していました。
「ハハ、ハウマッチ」
やっと言葉が出ました。
マネージャー「ファースト、75バー。アフター、イーチ30ミニッツ、40バー」
確か今120バーツはポケットにあったはずです。 「行くかー」と思いました。
しかし、なにがハウマッチなのか大筋ではわかっていても、細かい部分では何一つわかっていません。75バーツで含まれるもの、含まれないものが良くわかりません。
日本で、普通の一般的な学生生活を送って来た私にとって、もっとも興味があるけども最も不得手な部分でした。
大阪近郊の自宅から通ってくる学生は、高校時代からの彼女とか知り合いのコネクションでそれなりに遊んでいました。特に車を持っている奴らは、私たちのげすの勘ぐりを差し引いたとしてもやはりそれなりでした。
地方出身者で普通の学生には、小説でよくあるような遊びの手ほどきをしてくれる先輩がいるわけでもなく、自分で遊びに行くには金もないし、せいぜいが遊びと言えばストリップでした。ストリップに通い慣れていたとしても、そんなノーハウここで通用しません。
内容を聞けばいいのですが、英語力がありません。
私「ヤー、イクスペンシブ」
それしか会話を続ける単語が浮かびませんでした。
マネージャー「ノー、タカイ、ノー、タカイ」
私「ユー、スピーク、ジャパニーズ?」
マネージャー「チョトね。ジャパニーズ、ニンノイ。」
「ナイスガール、スクールガール、ノータカイ」
おう、と思いました。日本でも女子学生素人と言えばそれだけで売りにはなっていました。 ここでも同じでした。 が、私の問題はそんなところではありません。
50ドルも無駄遣いした後には、75バーだろうが、50バーだろうが大金でし た。 クイッテイヤオ(屋台の麺)一杯1バーツくらいで食べられたのですから、5
0食分。 「ツデー、ジャストルック、シンキングシンキング、ウイズイン、フューデイズ、 カムバック。」 マネージャー「オッケー、アズユーライク」
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