vol.044 タイ・バンコク (10)
私「タイって熱帯ほどあって人間いい加減ですよね、昨日バンコックに着いたばかりなのに早速適当なこと教えられまして。」
女の子「そうねー、案外そう言うとこあるわ、特にインドなんか地図出して場所聞くと、教えてくれたのがとんでもない方向だったりして、最初は嘘つかれたといちいち怒ってたけど、よくよく考えたらほとんどの人地図の
見方知ってなかったみたい。でも知らないと相手に言うより、何か教えてあげた方が親切だろうと先方は思っているみたい。」
ほうそんなもんかと私はうなずきました。これから行く予定のインドの話ですから。
私「昨日は、空港からまずバンコック中央駅のツーリストオフイスへまずいったんですよ。そしたら、このタイソングリート、クローズだと言うんですよ。理由聞かなかったんですけど、地図で教えてもらった場所は歩いてすぐ何でホテルへ行くだけ行ってみようと思って来てみたんです。案の定開いてました。こんな近くなのにこのホテルの情報正確に伝わってないんですかね。」
私はいっぱしの海外文化評論家でした。しかも、一年半も旅行してる人と、案外ここいらの人はいい加減だと話が出来ているのです。
女の子「そう、ツーリストオフィスの人がそんなこと言ったの、こんなすぐなのにね」
私「そうなんです、こんな近くで歩いて5分のところなのに、わかんないんですかね」
女の子「えっでもそれって、閉まってると言う意味で教えてくれたんではなくて、すぐ近くという意味で、クローズって言ったんじゃないの、道とか場所聞くときにはよくすぐ近くという意味で“クローズ”って使うよ。」
えっ、えっ、ほんまかいな、私の英語の辞書には、場所の近さは“ニア”であ り、時間の近さは“スーン”でした。どこにも“クローズ”が場所の近さを表す言葉だなんてありません。
女の子「たぶん、あなた、それ意味取り違えて聞いたんじゃない」
そうだ、そう言えば、クロ−ズ以外にも“ニア”何とかとも言ってましたっけ。
私「そう言えば“ニア”何とかとも言ってました」
女の子「ニアバイ、じゃない?」
そう、そう、ニアバイです、ニアバイ。
私「そんな気がします」
女の子「それじゃあ、たぶん係員間違ってないわよ。」
ここで彼女にこっと笑いました。面白い話聞いたわ、という笑いです。軽蔑の色はそこには含まれていませんでした。 私は、耳たぶから見る見る赤くなっていったと思います。私の英語力なんてこの程度でした。
バンコックは大嫌いだ! タイソングリートも大嫌いだ! 中華料理作ってる布袋腹の親父も大嫌いだ!目の前の女の子はちょっと嫌いだ!
連れの白人はデー嫌いだ!私は全身赤くなりながらそう思いました。
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