vol.045 タイ・バンコク (11)
バンコックは暑い日が続いています。タイソングリートに泊まってからもう一週間が過ぎました。毎日特にやらねばならないこともありません。インドに出発するにはまだ心構えができていません。一日中、レストランのテーブルに座ってボーとしてることもあれば、思い立ったようにバスに乗って観光スポットを回ってみたりしていました。
もちろん観光バスに乗るなんてことは、貧乏一人旅の主義に反します。どんなに遠くとも、何回もバス乗り換えなければならなくとも公共バス以外には乗りませんでした。これがまたえらく時間がかかりました。それにガイドブックとか観光のパンフレットを熱心には読まなかったため、観光に回ったところはどこがオーソドックスな所か、マイナーなところかよく解っていませんでした。おかげで黄金仏のあるお寺も何回もその近くに行ったのに、そこがそんな観光スポットだと言うことは1ヶ月ほどたったインドへ出発する直前でした。
あの髪の長い女の子も2,3日前にラオスへ行ってしまいました。日本人は私一人です。これから本格的に一人旅が始まります。毎日そう思って眠りにつくのですが、朝になると一人レストランのテーブルに座って、トーストと目玉焼きにコーヒーの朝飯を食べています。
まわりを見ると気後れしそうな連中ばかりで、しかも皆英語で話をしているし、気の利いた外人になるとタイ語でボーイと話をしていたり、夜になるとどこから連れて来るのかそれっぽい女の子を部屋へあげる奴が数人います。たまにおかまっぽいのとレストランで大騒ぎしている連中もいます。でも私は一人でした。話をほかの旅行者仲間とするにしても語るべきものはまだほとんどありません。語る言語も私にはできません。
皆それなりの格好をしています。インド風のだぶだぶの服を着てる旅行者もいれば、Tシャツに、カラフルなバティックのズボンはいてるのもいます。私は相変わらず、サファリジャケットにGパンです。
毎朝、鏡を見るのですがそこにいるのは、私のイメージと違った人のよさそうな小太りの学生もどきが写ってるだけでした。
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