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田森くんは西へ Index page へ

vol.023 台湾 (1)

 

一週間後の船便で、石垣島をでて台湾に向かいました。

琉球海運の船は、神戸から沖縄に来たときの船より二まわり小さく、波の影響は即伝わってきました。しかも九州沖より強烈な波がおそってきます。船も慣れてきたので食べ物も少なく、消化の良い物だけしか食べませんでしたのでもどすようなことはありませんでした。それより船の船首のデッキにでてジェットコースターのような上下運動を楽しむ余裕さえでてきました。船尾のデッキでも同じ事をしてみましたがどうも調子よくありません。やはり遊ぶなら舳先です。  

船客は台湾の人か地元の人ばかりで、旅行者はほとんどいません。私ら以外に旅行者らしい格好しているのが2,3人いたくらいです。船中一泊の後、基隆の港につきました。私が乗り継ぐ香港行きの船もこの港から出ますが2日後です。田島たちはここが最終の目的地です。やはり台北に泊まった方が得策です。  

私たち、ここ基隆が生まれて始めての外国でした。緊張はやはりしました。台湾入国の時は日本の週刊誌がチェックされて、たまたまそこに政治的なこととか、中国本土のことが記事で出てたりすると日本に強制送還されると噂で聞いていました。あわてて沖縄から持ってきた週刊誌を下船前にゴミ箱に捨てました。  

ここから台北まで鉄道で行ったのですが、駅で中年のおじさんに台北への列車の便を、つたない英語で聞いたところ流暢な日本語が返ってきたので感激しました。ガイドブックで、台湾の中年のおじさん達は日本語の教育を受けているので日本語べらべらの人が多いとは聞いていましたが、実際目の前にすると感動さえ覚えました。

台北では、海外旅行研究会で聞いた安宿に泊まりました。入り組んだ路地を入ったとこで2人部屋へ簡易ベッドを入れてもらって泊まりました。神戸出てからもう2週間弱経ってます。そのうち4泊が船の中です。まだ足下がぐらぐらしてる感じがしました。  

夜は田島たちが待ちに待った、夜遊びです。沖縄ではあまりにも迫力がありすぎて私たちすごすごと帰ってきました。ここではそういうことはありませんでした。  

実は私、今回もあまり乗り気ではありませんでした。信用してもらえないかも しれませんが、本当です。せっかくバイトしてためた金を使いたくなかったのです。田島たちは台湾が目的地で後は日本へ帰るだけです。私は、旅行のホンの出発地点に立っただけです。持ってる予算も十分な物ではありません。多分インドの滞在予算の2週間か3週間分は一夜で飛んでしまいます。  

でも夜の台北はわくわくするじゃないですか。台北に限らずバンコックでもマニラでも、日本より南のアジアの夜は、特に大都市はスキップしたくなるくらい体が軽くなるところです。大阪で言えば。新世界とか鶴橋、金がないならないなりに何とか楽しめる街、狭い路地を押し合いへし合いしながら歩く楽しみ。その路地独特の匂いが空気に付いていて、かえって食欲が進んだり。  

一人で安宿の部屋で膝小僧抱えながら、ぼーとしてんのも華のない時間のつぶし方です。彼らについていって華西街をぶらぶらしているのも悪くはありません。彼らも2時間ぐらいすれば遊びも終わるでしょう。