vol.024 台湾 (2)
実はもう一つ、一緒に花街へ繰り出したくない理由が私にはありました。今、私の懐にはこれからの生命線のお足が、250$弱ありました。(今日の朝、台湾円
に少し両替しましたので、実際には230$ぐらいしかありませんでしたが。) これ、安宿ですからセイフティボックスに頼むわけにもいきません。かといって部屋においておくこともできません。腹巻きに入れて持って歩くしかないのです。
歓楽街にお金もってうろつくのも心配です。
もし、もしもですよ花街に私も一緒に繰り出すことに万が一でもなれば、腹巻きも脱ぐことになるではないですか。脱がなくとも実用上は問題はないですけども、だいたいの場合脱ぐではないですか。これも困りますよね。置くとこないですもん。右手で腹巻き持ったままがんばるか、枕元において目を離さないでがんばるか、服の下に隠しておいておくか、いずれにせよ全部が確実に安全な方法ではありません。(この後の旅行中も腹巻きに入れたお金を、どうするかと言うことでは頭悩ませました。)
田島たちと一緒に龍山寺の近くの華西街まで行きました。このときやはり萬華 (ワンファ)へは行くのをやめることにしました。ここで、全財産盗られた日には、インドは永遠に戻ってはきません。飯食って少し飲んで景気付けました。田島と中島とは2時間後に会う場所を決めることにしました。
田島「一緒にいかへんか、こんなとこで2時間待っててもする事あらへんよ、自分、酒そんなに飲めへんやろ」
そういわれればそうです。2時間も飲み屋でいられるほど私酒飲めません。しかも台湾で一人で!
田島「バンカ、行くだけ行って、俺ら終わるまで待っててもええやんけ。」
私「そうやな、遊ばんでも行くだけ行くか」
さすが田島だてに4年の社会人生活送ってたわけではありません。私も行くだけ行くことにしました。ほんと見るだけ、見るだけです。
萬華は細い路地沿いに原色の電球がぶら下がった宿がずーと続いていました。沖縄のようなからからに乾いたプラスティックの趣はありません。べとべとの湿気の強烈な体臭のある街でした。かといって神戸の福原のようなのとはまた違う暗さがあって、やはり台湾なのでしょう。
道の両側で客引きがうるさいくらい袖を引いてきます。田島、先頭、私真ん中、 中島最後尾、世間ずれしてる順番になりました。一応何件か回ってみることにし
ましたが、私らはまだしも中島が途中何回も女の子に腕捕まれて道の端で立ち往 生するのです。
ふり切りゃいいのに、うろうろしてるうちに何人にも囲まれて動けなくなるのです。何回も田島と立ち止まってレスキュー作業です。
何回かそんなこと繰り返しながら街の中を進みました。 「うわー、とっとっと!」 また中島だ。私と田島振り返りました。
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