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【 片山くんが行く(70) 】
 
 この事務所、小さなカウンターがあって今私たちが座っている応接セットがあって、カウンターの中には机が3台、机の周りにはカメラ用品の段ボールが山積みになっています。支店と言うより連絡事務所の感じでした。30分ほど待ったでしょうか、ドアが開いて日本人が一人入ってきました。
 
 所長が顔を上げて彼に話しかけました。
 
 「林さん、日本からお客さん。」
 
 林「えっ」こちらを見て林さん、一瞬動きを止めました。
 
 所長「ほら、日本から」
 
 林さん、私らの方と所長の顔を交互に見比べています。「えーと、えー」
 
 林さん困ってるようです。私ら「突然」現れたわけですから。兄貴の野郎手紙出してねーのかな、不安になりました。
 
 私「あの、片山の弟です、兄が手紙出してたと思うのですが。」
 
 林「あー、あー、あー、もらってるもらってる、そういえばもらってる、でもだいぶ前だけど、どうしてたの」
 
 私「コペンでいい仕事あったので沈没してました」
 
 林「確か手紙もらったのは夏になる前だったような気がするけど、そんなに長くコペンにいたの?」
 
 私「いい人に拾ってもらって、二人して居候しながら働いてました。3ヶ月近くはいたと思います。」
 
 林「そう、へー、がんばってるんだ。最近無銭旅行流行ってるし。へー。」
 
 私「こっち、河本です、一緒に旅行してます。」
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