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【 片山くんが行く(67) 】
久々に、リュック担ぎました。荷物は日本から到着したときに比べ三分の一は減っています。本当に必要なものが大体わかってきたこともありますし、旅行先で必要なものは買えばいいことに気づいたからでもあります。
同じコンパートメントは私達以外にドイツ人らしい男の2人連れに、デンマーク人一人でした。おきまりとして、この三人と日本の文化とかヨーロッパのことについて興味深い話を交わしたとしたいのですが、夜行列車です。どこの国でも短期間の若者の旅行以外そうはハイテンションにはなりません。夜は眠くなりますし、皆が皆外国の文化に興味あるとは限りません。
最初に席に着くときお互い小さな声で「ハイ」と言ったきり、私達は私達同士でぼそぼそ話してますし、ドイツ人はドイツ人同士、デンマーク人は一人ですから何もせずに窓の外を見ているか本を読んでいました。
考えてみれば私達は今旅行者と言うより季節労働者に近い境遇でした。生活からの季節労働と言うより、今のワークキャンプ的な少しお気楽な季節労働です。たぶんコペンに到着したときよりも数倍落ち着いてコペンハーゲンという背景にとけ込んでいたと思います。
コペンハーゲンに働きに来る季節労働者などこの回りにすむ人から見たら珍しくも何ともありません。日本人の季節労働者は珍しいかも知れませんが、肌の色は雑多な連中が働きに来ています。その中で日本人がいても驚くには値しないわけです。
少なくともどう見たって私ら2人ともさわやかな笑顔と、シャンプーのにおいのする髪に、清潔なGパンではありません。クビになったからコペンハーゲンを出発するのです。最も3ヶ月以上連続で滞在するとオーバーステイで出国の時もめますからいい潮時と言えばそうですが。
2ヶ月近くイブのうちに居候していたための雰囲気も回りに漂います。少なくとも雰囲気からこの辺りに昨日今日到着したのではないのはわかります。
同じマーキングがあるもの同士は何も会話せず黙っていてもちっとも苦痛ではありません。また無理して話す必要もありませんし。そんなわけで、お互いトイレとか買い物にでるとき前を通るごとに「すまんね」と言うこと以外話はしませんでした。
食堂車もついていたのですが、食事してる間自分の乗ってる客車がはたして食堂車と同じ機関車につながったままなのか心配で、コペン駅でビールとサンドイッチを買い込みました。
つまり列車全体がハーグ行きなのではなく、私達の乗ってる客車がハーグに行くのであって、途中で何回か機関車への接続は変更になり途中から別の都市から来たハーグ行きが追加されることもあるわけです。そんなときのんびりと食事しているときに客車と食堂車は別の目的地に向かうこともあるわけです。
次の日の朝ハーグへ列車は到着しました。
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