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【 片山くんが行く(63) 】
さて河本にも挨拶しておかねばなりません。彼はレストランのウエイターやってましたから調理場で起きたこの騒ぎはまだ知らないはずです。私の仕事は1時間ほど残ってましたがこの際そんなことはどうでもいいことです。
レストランに行くと彼は忙しそうに働いています。この職場は、お客からチップが入るので私のいる場所より実入りはいいはずです。
「河本、河本、ちょっ、ちょっ」
河本「おうなんだい、ちょっと待っててな!」
彼の仕事が一段落済むまで少し待ちました。
河本「わざわざここまで来てなんだい。」
普通、私はレストラン側には用事無いので仕事中はほとんどここへは出てきません。
「あのさー、ここのオープンサンド作ってるバーさんのチーフいるよな、あれと 喧嘩してさ、クビだとよ、くび。」
河本「えっ!」
私「くび」
河本「なんで。」
私「だからさ、バーさんと喧嘩してさ。それでくび」
河本「いつから。」
私「今日から」
彼にはすぐには理解不能のようです。私だって、今さっきクビの宣告で頭がぶっ飛んでいます。
私「まあ、今日までだから、今までの金はすぐ事務所に行けばもらえるみたいで、俺はまたほか探すよ。今日仕事終わったら詳しく話すわ」
河本「おうわかった!今日夜話そう。」
河本首振りながら仕事に戻りました。私は一通り職場仲間に挨拶して、最後のバイト料もらいに事務所に向かいました。今更ながらこの職場、いろんな国の連中が働いているのを実感しました。イタリア、スペイン、ノルウエー、フィンランド、それと名前も知らないアフリカの国からので稼ぎ。
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