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【 片山くんが行く(52) 】
この国はおばさんも含めて、女性がえらく強いところでした。ホテルのデスクワークの事務員も女性のえらいさんが多かったし、オープンサンドを作るコックのコック長も女性でした。イブ君ちでもお袋さんが強いようでしたし、あちこちのパーティでも女性が中心と言えば中心でした。男は案外なよなよ派が多く、カマっぽい優しい男性が多かったです。ある日近所で盛大なパーティが催されました。それは深夜まで続き、12時過ぎても1時になっても終わりませんでした。
わいわいがやがやとうるさくて眠れません。次の日は週末で土曜日か日曜日だったのですが私も河本も出勤の日でした。うとうとするとワハハとかキャーとか甲高い声が聞こえてきてどうにも眠れません。
一時頃まで我慢はしたのですが限界でした。通常はこのくらいのことでは眠ってしまうのですがこのときは2人とも体調がよくなかったようです。起きあがって注意しに行きました。小道挟んで反対側の家の庭でパーティは真っ盛りでした。垣根越しに話しかけました。
「申し訳ないけど、もっと小さな声で話すか、家の中でパーティしてくんないか? うるさくて眠れないよ。明日仕事が朝からあるんだ。」優しそうな、ひょろっとした青年です。
「今日は週末だぜ、パーティ一緒に参加しないか?まださけも食い物もあるし!」通常なら、悪いねー、ゴチになりますよ、なんてひょいひょい参加するのですが、今日はどうも気分が優れません。
「すまんけど、今日は駄目だ、家の中ならあまりうるさくはないだろうから、も う時間も時間だし。」
「ちょっと待ってて、ここの人呼んで来るから。」青年はそう言って、酒のグラス持ったまま家に入っていきました。相変わらず庭では10人くらいが騒いでいます。河本2人で腕組みしながら待ちました。
五分ほどして、青年が体格のいい女の人を連れてきました。見覚えのない顔です。いつもあう隣人とは違うようです。酒が入って陽気な感じでこちらへ歩いてて来ます。目があって相手の女性はにっこり笑いました。
「ハーイ、ユーフローム、チャイナ」
「ノー、ジャパン。」
「オー、ソー、ユーアー、ジャパニーズ!」当たり前じゃん、日本から来たら日本人じゃん、
「大変お楽しみ中申し訳ないのだけど、うるさくて眠れない、時間ももう遅いので、静かにしてくれるか、家の中でパーティしてもらえない?」
「今日は週末だよ、一緒に飲もうよ、皆楽しくやってるし。」
「酒嫌いじゃないし、招待はありがたいのだけど、明日仕事があるので。あ、も う今日か今日の朝8時から仕事なんで悪いけど、参加できない。」
「そう、残念、今日は朝までパーティするつもりだけど。」なにー。冗談ではありません。明日、と言うより今日の6時間後は仕事始まるんです。
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