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【 片山くんが行く(53) 】
さすがに私むっとしました。この調子で朝まで騒がれたんではたまりません。
「楽しい週末なのは良いんだけど、も夜も遅いから部屋の中でパーティしてよ。それならうるさくはないから。」
「せっかくの週末だから、あなた達も一緒に飲みましょう。ジャパンから来たんだし。」
「今日は体の調子あまりよくないんで、遠慮します。いつもなら、参加させてもらうのだけど、悪いけど今日は眠りたい。だからせめて庭先はやめて家の中で騒いでよ。」
双方同じ事の繰り返しです。相手は酒が入ってるしパーティのハイな気分になっています。こちらは眠れないけど体調悪しの最悪状態です。だんだん頭に血が上ってきます。時折江戸っ子言葉が混じり始めます。相手には当然通じませんがニュアンスはよく伝わるようです。先方もデンマーク語が混じり始めました。
最初に話しかけた、気の優しそうな青年は顔面が蒼白になってきてます。こちらはさっきまで眠そうなだるい感じだったのが全身血の巡りがよくなってきました。今話の場は相手側の庭の芝生の中です。
「私らパーティには参加したくない、眠いだけだよ」そう言いながら相手に一歩近づきました。私の喉元には江戸っ子の啖呵「冗談じゃねーぜ、ええ、」と言うのが上がってきてました。
「ジョ」くらいまで啖呵を切ったところで、女の「シット」と言う言葉と同時に私の体は後ろ向きに宙を飛んでいました。何が起こったか一瞬わかりませんでした。次の瞬間芝生の上に転がっていました。河本もぽかんとした表情で私を見下ろしています。庭にいて私達の近くの数人も、えっと言う表情で会話をやめてこちらを見ています。
さっきの優しい青年が女の前にでてなにやらなだめています。彼の肩越しにこちらを指さしながら、彼女はなにやらわめいています。
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