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トラベルメイト片山くんが行く

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  1. 【 片山くんが行く(49) 】

     以前、私達がアルバイトを捜し始めたときに回った日本料理屋の中に「東京館」と言うのがあります。そこの近くのビルに、赤線がありました。アルバイトに採用されて何日間かが経って、宿もオーレ君のところに決まりお金に余裕がちょっと出来たときでした。

     ケンさんを中心に、新人アルバイター歓迎夜遊びをやろうと言うことになりました。仕事が終わってちょっと町でいっぱい引っかけて私達入れて5人で東京館の方角へ向かいました。私の全身は期待に満ちあふれていました。たぶんスキップさえしそうな雰囲気だったのです。

     そこはビルの中にあって、女の子が窓から顔を出しています。私達はその窓を見上げながらどの子にするか決めるわけです。私はすぐ決まりました。同じ年頃のスリムなブロンドの女の子。夜目遠目は美人に見える最大の原因のようですが、彼女はそれを差し引いてもどきっとする美しさがありました。

    「アイアム、ゴウ、オッケイ?オッケイ?」

     私は必死で両手を振りながらアピールしました。気づいてくれたようです。彼女の部屋は三階でした。小走りにビルの中に入り、階段を一気にかけ上りました。三階に着いて部屋を探そうとしたのですが、あれ、部屋がどこだったかよく解りません。一軒一軒ノックして回るわけにも行きません。すぐ私はUターンして階段を飛ぶように駆け下りて下の広場に帰りました。

    「ヘーイ、ヘーイ、アイ、アム、ゴウ」

     なかなか窓から彼女顔を出してくれません。下の階のおばさんが、(と言っても25才くらいでしたか?)自分を選べと盛んにアクションしています。

    「ノー、ノー、アップステアー、アップステアー!!!」

     私は必死でした。ほかの日本人メンバーは河本を含めてもうどこかの部屋にしけ込んでいます。置いてきぼりは特にいやだ。

    「ヘーイ、ヘーイ、ヘーイ」

    やっと顔を出してくれました。

    「ハリーアップ、レッドネッカチーフ、オンザドア」

     そうかドアの所に赤いネッカチーフを出しといてくれるのか。一気に階段を三階までかけ上ったつもりでした。最後のステップで階段足を思い切りぶつけてしまいました。息が詰まるような痛さです。少しそこでうずくまって痛さが和らぐのを待ちました。

    もうすぐなのについてない。ネッカーチーフは、3っつほど先の部屋でした。そこまで行くのになんと長い距離だったでしょう。

     このときの料金はっきりと覚えています。40クローネでした。ほかのものの料金は当時の日記とか、メモ書きを見ないと思い出せないのにこれだけはしっかりと頭に焼き付いています。

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