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【 片山くんが行く(39) 】
河本「良いかいオーレ、奴らがどう言おうと事実は一つ、俺達の荷物の仲から、日本から持ってきたお土産を彼らが盗って、自分の荷物の中に入れていたと言うことなんだ。大した金額じゃないかも知れないけども、泥棒は泥棒さ、ポリスへ行くまでのことでもないけど、ここ出てって欲しい。」
オーレ「彼ら誤解だと言ってるけど、どうなんだ。言葉の行き違いもあるだろうし。」
いくら僕ら、コペン滞在が一ヶ月前後だと言っても言葉は流暢ではありません。最低限の話が何とか誤解無く伝えられる程度です。言葉でオーレ君を、説得できるわけもありません。 ただ、事実は事実です。彼らが言い逃れを続けたとしたら、私らには一個一個の話に反論して、追いつめて行くだけの語学力はありません。殴り合いになれば、たぶん勝つでしょうけど、河本が棒っきれを持ったとしてです。
またオーレ君と、金髪A,B君の話がデンマーク語で始まりました。
「ジャストモーメント、ジャストモーメント」声の大きさでは、私は負けません。こう言うときは、何でも良いからしゃべり続ける方がだいたいが得策です。彼らの話を遮って、オーレの袖を引っ張って部屋の隅に行きました。「彼らあんたの友人なのか」
オーレ「そうだ」
私「どれくらいここに泊まる予定になってんだ!」
オーレ「彼ら、今泊まる所無いんで、まあ、二週間か三週間、でもはっきりはわかんないな」
河本「そりゃ困る、俺らもここに泊まってるし、前もって彼ら泊まることを教えてもらっていれば良かったかも知れないけど、実際物盗ってるわけで。」
オーレ「それについては、彼らは誤解だと言っているし、君らの言葉の問題もあるから、うまく話が伝わってない可能性もあるし」
河本「言葉が俺らうまくないのは事実だけど、奴らが盗ったことは確かだし、オーレ、同じホテルで働いてるんだろ信用しろよ」
複雑な話になるとやはり河本君の出番です。
オーレ「そりゃ解るけど、両方とも友達だし、こんな事で警察も呼べないし、だいたいここに住んでるのも合法じゃないし、何とか両方ハッピーになれないかな」
オーレ君いい奴ですが日頃から優柔不断でした。優柔不断だから日頃いい奴だったのかも知れません。
イブ「ちょっと家に帰ってくる、また来るから」
今まで黙って両方の言い争いを聞いていたイブ君しびれ切らせたようで、部屋から出ていきました。
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