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【 片山くんが行く(38) 】
荷物を前にして、金髪君達と河本が言い合いをしています。普通なら開き直るか謝るかしか無いように思うのですが、彼らはしぶとい。 彼らが言うには、ここに最初朝オーレ君に連れられてきたときは確かに君たちの荷物と寝袋しかなかった。しかしさっき来たときは、部屋の中にライターとかハンカチが並べてあった。きれいだったので何も考えずに私達の荷物の中に入れてしまった。ああ、あれは君たちの物だったのか!でも誰が荷物開けて部屋の中に並べて置いたんだろう。
本当に口の減らない連中です。誰も他の人がこの部屋は行って来るはず無いじゃないですか。見え見えなのに絶対認めようとしません。だんだん私のヌンチャクの頭ごりごりにも力が入ってきました。
30分ほど押し問答していたでしょうか、突然ドアが開いてオーレ君が帰ってきました。オーレ君、ホテルの同僚のイブ君を連れてきています。イブ君17,8才くらいのコックの見習いのアンチャンです。特別彼と仲がいいわけではなかったのですが、ホテルの厨房では良くふざけっこ等してた仲です。河本の方がイブを良く知っていました。
一瞬彼らは大きく目を開いて部屋を見渡しました。何が起きてるか理解できないようです。少なくとも楽しいことではないのは確かでしょう。私と河本が、オーレの知り合い2人をこづき回しています。床には、リュックから出した荷物が並べてあります。
河本がオーレに話しかけました。「オーレよ、何とかしてくれよ、こいつら俺らの荷物取りやがったんだぞ」
オーレ「えっ、なんだって」
金髪B急に早口の母国語でオーレに話しかけます。「XXXXXX,YYYYYYYY,ZZZZZZZZ」
もちろん私達彼らが何を話しているかは解りません。想像は簡単に付きます。
「俺達何もしてないのに、急にこいつら怒りだして俺達の荷物をあけやがった。たまたまそこに日本のライターが入ってたので、誤解したようだ。これは元々、この部屋の床にあったので,Aが拾っておいた物で、決して俺達がとった訳じゃない。」
正確にこうしゃべったかはわかりませんが、このような感じで話をしたことは確実です。河本が彼らの会話に割って入りました。
「ちょっと待てよ、デンマーク語でしゃべられてもわからんよ。第一オーレよこいつらなんなんだ。」
オーレ「友人だけど、泊まるとこ無いので泊めてやってんだ。あんた達と同じようにね」河本「実際、こいつら泥棒したんだ、彼らと同じ部屋にいるのは安全じゃないよ。本当に友人なのかい?」
オーレ「友人だよ。彼ら泥棒については誤解だと言ってるけど、どう!」
河本「さっきから何度も調べたよ。間違いないよ、盗ったんだよ。」またオーレ君と、友人はデンマーク語でしゃべり始めました。
私はイブ坊やへ向かって話しかけました。「ソー、マッチ、トラブル」
イブ君困った顔をして、微笑みました。
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