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トラベルメイト片山くんが行く

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  1. 【 片山くんが行く(33) 】

     金髪2人組、どうもあまりいい人たちではなさそうです。どうも虫が好きません。だから話しかけもこっちからは積極的にはしませんし向こうも話しかけてはきませんでした。 気まずい一時間が経ちました。 その間リュックの中から日記類を取り出そうとしてふと気づきました。誰かがさわった!中の荷物とか小物の入っている順番が微妙に違っているのです。河本の脇腹を肘でつついて小声で聞きました。

    私「おう、なんか物無くなってないか?、誰か荷物にさわったみたいだぞ」

    河本「えっ、ちょっと待ってな。俺のを見てみる」あわてて河本も自分のリュックを開けて点検しています。金髪2人組の方を見るとこっちの動きをちらっと見て後は話を続けています。微妙なとこですが、雰囲気はあまり良くありません。

    河本「この紙封筒こっちのポケットに入れてなかったように思うけど、はっきりは覚えてないな。」

    私「な、おかしいよな。日本から持ってきたおみやげ用のライターがないような気がするリュックを全部ひっくり返さないとわからんが」

     こちらに来る前、浅草の外人用のおみやげ物屋でそれっぽいおみやげを何個か買ってきていました。外人の知り合いがいるわけではないですから、プレゼントする当ては無かったのですが、もし誰かにお世話になったとき何もないのは困るじゃないですか。

     この頃おみやげの定番と言えば「五円玉」でした。だいたいの無銭旅行の本にはこれが書いてありました。お世話になった人へプレゼントするにも何も持ってないので日本の五円玉をその家の子供にあげたらすごく喜ばれた、とか道を聞いたときに親切にしてくれたおばさんにあげたらこれ本当にお金か、すごく珍しいと感謝された。

     ヨーロッパでは、硬貨の真ん中に穴が開いているコインは無く、五円玉は真ん中に穴が開いているので非常に珍しがられるそしてプレゼントとしてはすごくいい、これが無銭旅行を目指す若者の間では常識でした。

     デモね、何か眉唾じゃないですか!だから扇子とか、舞妓さんがデザインされているライターを2,3個買っていったのです。それがどうもない。河本も同じような物を持ってきたはずですが見つかりません。カッコつけてる場合ではありません。リュックの中を全部出して二人して点検です。

     これ見よがしに見えたのでしょうか、金髪2人ずれこちら見て笑いながら肩をすくめています。空耳かもしれませんがジャップ、だとかチノとかいってるのが聞こえた様に思えました。一瞬にして空気は緊張してきます。相手は、180cmくらいの大男2人。こちら極楽とんぼの加藤に、99のヤベッチ。ヌンチャクはありますけどね。

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