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トラベルメイト片山くんが行く

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  1. 【 片山くんが行く(28) 】

     仕事初めて一週間くらいたった頃です。この頃になると、デンマーク人のスタッフともかなり親しくなってきます。私たちは同じ下働きのアフリカン、トルコ人、スペイン人とはバカッ話はしてもそうは親しくはなりませんでした。 気取っていたわけではありませんが、相手はプロのアルバイト、私らはアマチュアのアルバイト、この辺の余裕というか遊びの部分が共通するのは、同じアルバイトの人達よりデンマーク人の方だったからです。 私たち以外は、旅行のため働いているわけではなく、お金を貯めて本国の家族に送金したり、貯金して帰国のとき故郷に錦を飾るためでした。彼らの後ろには家族がいたり本国の家がのしかかっていたわけです。

     私らその辺りが気楽なものでした。まだ養うべき家族はいません、故郷にお金を送る必要もありません。遊びに全部使えるわけです。この点から行けば、同じホテルで働いている正社員のデンマーク人とかスエーデン人より遊ぶことにかけては上だったでしょう。 彼らだって、お金と暇があれば、スペイン辺りで日光浴していたいはずです。

     私ら自慢じゃないけど、お金はないけど暇があります。そして遊ぶための軍資金をためるため皿洗いトイレ掃除をしてるわけです。そこいら辺りの通じ合える部分は、トルコのおっさんとか、アフリカの青年にはありません。

     デンマーク人のスタッフでオーレ君というのがいました。バイトも一週間を過ぎるとあの金が日々減っていくどんずまり感はきれいさっぱり無くなっていましたので、仕事が終わるとオスターポート駅の前の立ち飲みのカウンターでビールを飲むのが、私たちの日課になっていました。 たまたま、オーレ君と私たち三人でその日は飲みに行くことになりました。仕事が終わった後のいっぱいはたまらん訳です。こういうときも、日本人以外のアルバイトは、ビールなど飲みに行きません。金をためねばなりませんから。

     私たちの飲み方は、つまみもとらず4,5杯というところです。話をしてみるとオーレ君日本に興味があって、いつか金貯めて日本に旅行したい特に京都に行きたいという願望を持った青年でした。ま、それもあって一緒にのみに来たんでしょうが。この点から行けば、日本でてから一ヶ月もたってませんが、私たちは大先輩です。話を続けるうち、今あんたらどこに泊まってんだという話になってきました。

     ちょっと前まで野宿、いまはYHに泊まってるという話をしました。野宿の話はちょっと彼に受けました。ああ、あの公園で寝っころがってるヒッピーの仲間だったの、そうか。

     オーレ「俺も似たような生活してるけど、ちょっと危ないけどただで泊まれるとこあるよ、来るか」

     河本「ただってのは良いけど、何が危ないんだ」

    込み入った話になると交渉係は河本です。

     オーレ「ちょっと警察がね、いや麻薬とかそういうのじゃなくて、勝手に空き家に住んでるから、そこいらがね。下手すると、放り出されるかもしれないけど、捕まる訳じゃないのでそう危なくはないけど、部屋もう一部屋あるから、来るか」

     ただより高いものはないと言いますが。実際そのまんまのただなら、他に条件が付かなければ、ただより安いものはありません。

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