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【 片山くんが行く(25) 】
この日一日精一杯働きました。あれから30年弱経ちますがあの日ほど一生懸命働いた一日はありません。
朝は皿洗い、午後はゴミ捨て、トイレ掃除。うれしいことに朝6時から一時間ほど働くと、交代で朝飯にありつけました。パンと卵(オムレツかスクランブル)コーヒー、ジュースのみ放題それに牛乳も。昼飯は最初から期待はしていたのですが、朝御飯も出るとはなんという幸運なんでしょう。
下働きのコックが我々の食事を厨房の片隅で素早く作ってくれます。オムレツなどは一皿盛りきりで終わりですが、パンとかバターは食べ放題でした。厨房の下働き、メイド、掃除人(私達厨房の皿洗いだけでなくこちらもやらされるみたいです)が、小さな従業員用の休憩室で入れ替わり立ち替わり朝食をとっては消えていきます。私達はかなり休憩室で粘りました。仕事をさぼる意味より、パン食い放題に魅力を感じていたのです。
あっと言う間にお昼です。昼はオープンサンドの簡単な奴に飲み物です。後で解ったことなのですが此のホテルはオープンサンドで有名なおばちゃんコックがいてそれがレストランの売りの一つだったのです。お客に出すオープンサンドをそのまま出してはくれませんがシンプルな形にしたものを、従業員に食わせてくれたのです。
この日、一日で適度な運動と、ちゃんとした食事で私達の体調はすこぶる快調になって来ました。今日の朝までのあの沈んだ人生はなんだったんでしょう。コペンハーゲンはいい町です。
ただ一つ不満なのは、後一週間後にはバイト料が入って来るにせよ今はほとんどお金がないことです。二週間後はまた職探しを始めなければなりませんが、二週間後などずーと先の話です。食費は夕食だけ心配すればよくなりましたので野宿を続ければ一日1$強、つまり10クローネ前後有れば生きてゆけます。二人あわせて20$ちょっとですから次のペイデイまでは大丈夫です。
実際は最初の給料日はバイト始めて、3日ほどで来ました。8時間で一日日本円にして3500円程度でした。税金が高くて30%から35%は引かれたような記憶があります。手取りは、2500円弱と言うところでしょうか。単純に比較して日本の2倍強、しかも税金でとられた後のネットがこれですから、税金払った分の住み易さは段違いでした。
税金が高いと言うことはそれだけ社会資本が日本よりいいわけで、そうなると町にも人にも余裕があって暮らしやすくなるわけです。それが私達のような出稼ぎ風旅行者であってもちゃんと恩恵にあずかるも度社会にも余裕がありました。
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