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【 片山くんが行く(21) 】
「おい、起きろ、起きろ!」
河本が呼んでいます。もうモスクワに到着したのでしょうか。
私「モスクワか?」
河本「えっ、何寝ぼけとるの、今日面接だろ面接、もう起きねーと遅れるぜ」
私「ええっ、何モスクワじゃないのか?」
河本「ほら朝飯」
彼がパンを手渡してくれます。一瞬何が起こってるか理解できませんでした。河本が寝袋にくるまったままパンを差し出しています。左手にはコーラの缶を持っています。周りを見渡すと、見慣れたコペン大学の芝生です。コーラをもらって一口飲んで寝袋の上に座り直します。
「おう、お、お、お、そうかそうか、昨日のホテル今日もう一度来いっていってたよな。」
そうです、そうなんです。昨日回ったホテル、担当者がいないので今日もう一度来てくれと言われたのです。その上日本人が一人いました。
日本人「今休暇で2人ほど田舎の方に遊びに行ってるのがいるんだけど多分その後がまに仕事あるんじゃないかな、明日の10時頃ならレストランのボス来るから聞いてみたら」
まだ私たち、おとぎの国にいました。初めてものになりそうな話があったので、昨日は夜河本とビールで祝杯を挙げたところでした。所持金は30$を切ってました。
確かにさっきまでモスクワ行きの飛行機の中でした。左の頬に飛行機の窓枠の感じがまだ残っています。もう一度目がさめたらやはり飛行機の中だったりして。 パンを食べてみます、コーラを飲んでみます、やはり回りはコペン大学です。
私「あのさ、さっき変な夢見てさ、俺ら強制送還で飛行機に乗っててさ」
河本「強制送還でも、強姦でも何でも良いから早く食えよ、顔洗って歯磨いて行くぞ」
私はと言えば、まだボーとしていました、長編映画を見たときのような心地良い疲れが残っています。こう言うときはもしや、寝小便を!自分のパンツをさわってみました、大丈夫です。念のため寝袋の中も手を突っ込んで見ました、乾燥してます。
20過ぎてから寝小便はいただけません。なんでもないので、ちょっと私幸せになりました。
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