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【 片山くんが行く(75) 】
緊張していたのでしょう。足が切れて血が出ていたとは気が付きませんでした。
私は日本人、空手家です。びっこもひいてはいけません。顔をしかめてもいけません。
「OK、OK、ナッシング、ナッシング」
実際、足がじんじん痛んではいたのですが、歩けないほどではありませんし、今まで気が付かなかったくらいですから。緊張していたのでしょう。
「ヘイ!」
生徒の一人がタオル投げてよこしました
「サンキュー!」
こういうときは河本です。手早くタオル拾うと足のくるぶしをくるくるっと巻きました。サポーターを当てたような見事な出来映えです。
「ノットソウ、シリアス。ノープロブレム」
床に付いた血の後を、生徒が拭いてまた組み手の再開です。私達は、見学者用のイスに座ってここの道場のレベルがどの程度か観察です。
さっきの手首をくじいたおやじ除けばほとんどの生徒が、20歳前後の若い連中です。教師も含めてレベルは、高くなさそうです。これなら私達でも大丈夫そうです。
練習が休憩に入りました。私の足の血も止まったようです。
「ドウ、ユー、シンク、ウイー、ゲット、ジョブ、ヒアー」
教師に聞いてみました。
「ノットシュアー、バットアイ、レコメンド」
うれしいこと言ってくれるじゃないですか。板の試し割でプラス、けがでマイナス、河本の手早い突き指の手当と、止血でプラス、合計プラス、好印象と言うところでしょうか。
ボスが来るのは、あさってだそうで、その日にもう一度くる約束をしました。もし都合悪ければ、林さんの会社へ電話もらうように伝えました。
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