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トラベルメイト片山くんが行く

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  1. 【 片山くんが行く(74) 】

    正面と右の板は、カツと言う軽い音とともにまっぷたつに割れました。左は目標が微妙にずれたため板の端を蹴ってしまいました。板は空中を飛び壁にあたって派手な音を出しました。おやじは、手首くじいたらしくうずくまってうなってます。

    私の方は、くるぶしが板を擦ったらしくじーんと暑い感覚が広がります。いてー、痛いけど我慢です。東洋から来た空手家は痛いなどと言ってはいけません。
    「カハッツ、カッ」呼吸を整え、元の体勢にに戻り一礼しました。おやじさんうずくまったままで手首押さえてうなってます。

    「アー、ユー、OK?」

    「ヤー、ヤー」うずくまったままでちらっとこちら見上げておやじは答えました。

    視線をこちらへ向けて受け答えできるなら、大丈夫でしょう。すぐさっきの教師と、座って見学していた生徒が2人立ち上がっておやじを道場の隅のイスへ連れていきました。

    「ジャストモーメント、ジャストモーメント」河本が呼び止めます。そうだ彼も一応は柔道で黒帯なんだ。

    「キャンナイ、シー」こういう場合で、良いのかどうかは解りませんが、ちょっと見せてよを、直訳すれば「キャンナイ、シー」です。

    簡単な整体はお手の物です。
    「イズ、ディス、ペイン?」

    手首あちこち押しながら、河本が質問します。

    「オウッチ」親指の付け根押すとおやじさん痛がります。
    でもまあ、急激に腫れてくるわけでもないし、単純な突き指でしょう。親指を引っ張り痛いところを軽くマッサージしました。

    「コールド、ヒア、5デイズ、OK」
    重々しく低い声で河本が伝えます。

    「サンキュー、サンキュウ、ベリーマッチ」
    おやじさん手首押さえながら答えます。

    「ヘイヘイ、アーユーオールライト」
    私の足下指さしながら、教師が言いました。

    「へっ、」
    そう言えば、まだ足はじんじんしています。
    血ダー、血が出ています。さっき蹴ったとき、角の鋭い部分がくるぶしにあたったようです。

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