ハーマンさん
「そうです、旅行に来たんですけどもお金があまり無いので今は、ハーグで働いています。」
ハーマン「日本よりこちらの方がお金良いですよね。」
河本「働く場所にも依りますが、日本の2,3倍は稼げます。」
ハーマン「レストランで働いてるのかな。」
この頃のヨーロッパで日本人旅行者が働ける職場はレストランの厨房の皿洗いが一般的でした。女性ならイギリスのオーペア制度とか。
河本「コペンハーゲンはそうでしたが、こちらでは空手教えています。」
ハーマン「あなた達、空手できるんだ、大和魂教えてるのかな。」
私「まあ、そんなに堅苦しいもんでもないです。こっちの人基礎の練習より派手な蹴りとか突きを教えろとうるさいです。そんな精神的な物まではまだまだです。」
20をやっと過ぎた若造の言う言葉ではありませんが、ここで空手教えるようになって何故か10歳くらいは老けて人生が少し解ったような気分にはなっていました。
ハーマン「はは、そうだねヨーロッパの人派手なことの方が好きだから。こちら体大きい人多いだろう。下手すると2mくらいの人までいるよね。そういう人にどう教えるの。」
私「相手が武道やったこと無い完全な初心者なら何とかなります。武道の道場に来る人一応は武道の演武くらいは見てますから、私らがデモンストレーションする型見ればなかなかやるな位は解ります。そうなったら一目置かれますから、へらへらするような態度見せなければ大丈夫です。隙を見せなければ良いんです。」
ハーマン「なかなか大変だね、私たちの国もあなた方のような若い人が旅行に出かけられるようになればいいと思うよ。まだまだだけどね。」
この日からハーマンさんとはハーグ出発するまで週に一回は必ず飲み屋で話が弾みました。おかげで、オーストラリアの上にあるニューギニア島の事についてはなかなかのマニアックな知識が豊富になりました。
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