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「トラベルメイト98」
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【 旅行会社(7) 】
旅行会社(6)では、旅行初心者の、旅行会社または旅行商品に対してのイメージと実際の現実との違いを説明しました。人によってはかなりのベテランになってもまだ、旅行者側が慣れてくれば(つまり事情通になるか、いかにもベテランらしく振る舞えば)旅行会社もそれなりの応対をしてくれるし、旅行会社もそれなりの儲かっているから業者側がもうちょっと努力してくれれば何とかこんなギャップは埋まってしまうという言い方をする人がいます。
はっきり言ってそんなことはあり得ません。根本的な構造がギャップを生んでいるのでありますから、それを運用の部分でどう工夫しても少し差を埋めることは出来てもなくすことは出来ません。
1960年代のパッケージはほとんどの考えられ売るサービスが詰まったものでした。それは一言で言えば「大切なお客様を、右も左もわからない海外でお預かりする」ものでした。それは今も、例えば学生向けのユニット商品、(往復航空券に到着日のホテル、ホテルまでの車付きのもの )に参加した旅行者から2週間連絡がないので探してくれ「だって人様の大切な子供を預かっている」訳だから当たり前だろうという親御さんにまだまだ残っています。
考え得る限りの旅のパーツを満載した旅行から、一つ一つの単品がそれぞれ商品価値を産み始めた最近の旅行商品に至る急激な変化に、旅行者も旅行会社もついて行ききってないのが現状です。旅行者は海外旅行に対してのそのイメージで、業者側は旅行商品の広告のなかで。
最近流行の単品売りの旅のパーツに、そのパーツ自体の説明と保証はあっても全体的な旅行に対する説明と保証はあり得ません。わかりやすく言えば、格安航空券を買ったら航空券の利用法の説明は付きます。それが日程通り飛ばなかったり、オーバーブックの時は航空会社が(航空券を売った旅行会社ではありません)何らかの代案を出してくれます。(それがない時もあります。)
目的地の旅行情報の提供は含まれませんし、それ以前の旅行自体のうまいやり方などのアドバイスも含まれません。但し、気分のいいお客さんには時間を掛けて教えてしまうかもしれません。この部分をほとんどの人が業者と親しくなればとかうまく行けばという表現でギャップを埋める一つの方法にしてしまっていますが、本来の基本的な仕事でないものをそこん所をうまくと言われてもいつも出来るわけではありません。
話し始めるとついついのってしまっていつも得をしているお客さんは確かにいます。こいつには最低限の注意もしたくはないなと思いながら渋々仕事をやる相手もいます。(私らプロですからどんな相手にも料金をちゃんともらっていればその料金に含まれているサービスはします。)ほとんどの人は可もなし不可もなしの人です。通常のサービスは絶対にしますが、ギャップを埋める親身の無料サービスは期待しない方がいいです。
旅行業者は利益を出すために動いています。ある一瞬をとってみれば儲けを度外視している部分もあるかもしれませんがそれもこれも、次の儲けのためです。基本的には損がでる商売は出来ません。「損をして得を取れ」という言葉がありますが、一時損をしても次に得がとれるのが確実ならば、業者は損もしますがそれが確実でないなら損は当然出せません。これは旅行に限らずどの業界でも同じですしこれ以外の原則はあり得ません。原則を曲げると即じり貧になります。
じゃあ商売なんだから全然遠慮する必要がないじゃないか、聞くだけ聞けばいいし、サービス業なんだからサービスするのが当然だと思う人も多いでしょう。それはそう思われてもそう行動してもかまわないと思います。でも多分どうやっても料金に含まれている最低限のことを嫌々やってもらう結果に陥ります。
「あなた方はサービス業なんですから、お客さんにサービスするのは当然でしょう。トラブルになるということは、サービスが足りなかったからで、トラブルになったこと自体恥ずかしいことでしょう。」と、消費者センターのおばさんに言われたことがあります。納得できないので、大喧嘩になりました。結局三人担当者が変わって、何の結論もでませんでしたが、消費者センターの係員でさえこの程度の認識しかないのかと唖然としたことがあります。機会があればこのトラブルをお話ししてみたいとは思いますが、ここにある原則だけは皆さん覚えてください。
確かにサービス業ですからお客さんにサービスを売っているのは確かです。もっと詳しく言えばもらった分の料金に相当するサービスはいたしますが、含まれないものは追加料金をもらはないと出来かねるのです。サービスは基本的に有料です。
それを、「そんなもんあんたサービスしてよ、少なくはないかね払ってるんだから」と言われても私ら一言「何で、(その分もらってないよ)」というしかありません。
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