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トラベルメイトトラベルメイト98

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「トラベルメイト98」
  1. 【 旅行業界入門(7) 】

     専門学校生は通常2年間の通学で、高校卒業後の人たちですから18,19歳年取った人で20歳というハンデはありますが、それなら大学1年2年生も同じです。海外旅行者崩れの「プータ」さんは少なくとも20歳以上ほとんど25歳くらいまででしたから比較するのはちょっとかわいそうかなとは思いますが、その代わり毎日旅行業務の授業を受けてはいるのですからハンデは縮まるはずです。

     専門学校で学んだ技術は、実践にはくその役にも立ちませんでした。落ち着いて机の上で旅行業についてペーパーテストしたとしたらたぶん専門学校生の方がダントツだったでしょう。残念なのは、実践では時間が非常に限られたものになってきます。

     出発まで一週間しかなければそれに絶対あわせた仕事しなければなりません。お客さんと電話してるなら基本的には電話中に何とか仕事の格好を付けなければなりません。このように実践では時間の軸が必ず仕事に加わります。

     そうなったときは、少々の技術的なことよりも今までの人との対話の蓄積とか気配り、相手がなにを言いたがってるのかの理解能力、社会一般の常識という知識が勝負のキーワードになってきます。

     体験アルバイトの専門学校生は、年間5,6人、5年くらい続けて頼んでましたから延べ人数30人、ほとんどの人たちに最初なにを教えたかと言いますと郵便料金の仕組みと郵送の仕方。これを教えなくてもよかったのは一人しかいませんでした。

     学生の場合は最初は郵送の方法を知らなくとも、郵便料金の表を渡しておけば自分で調べて最初は失敗しても2回目から何とかしてました。専門学校生は料金表渡しても思いがけないところで思いがけないことやってくれる人が多かったです。

     くそ忙しいときに、速達の出し方さえわからない場合大きなトラブルに発展することが多々ありました。パスポート返送したとき、出発日の前日までには最低お客さんちに届いてなければまあ大騒ぎになります。今のように宅急便などが一般的でない時代ですから頼りは書留速達しかありません。

     郵便局の本局は速達にすれば24時間受け付けてくれます。午前1時でも、3時でも窓口のブザー押せば眠そうな顔した係員がでてきてくれます。出発案内がぎりぎりで午後8時くらいに何回か速達で窓口に出してもらったことのある「A」君今回パスポートがぎりぎりなので、下宿に帰る途中郵送してもらうことにしました。今までと違ってパスポートですから「書留にしてね」と一言付け加えました。郵送料は多めに2千円仮払いしておきました。

     次の日、A君に昨日の書留の発送控えと仮払いの精算をするように頼んだところ思いがけない返事が返ってきました。
    「昨日送れなかったので、今日今から郵便局に行って来ます」

    おい、お客さん大阪の人で、明日出発だぜ!しかも大阪発。なぜ昨日送らなかったと聞いたところ、

    A君
    「だって送れなかったんです。書留ですよね、書留はあの時間外窓口では昨日受け付けてくれませんでした。速達ならといわれたのですが、書留で送れと いわれていたのでもって帰りました。電話すぐかけたのですが誰も事務所に おられなくて。」

    たまたまその日の8時から9時くらいは全員食事に出かけていて事務所に誰もいませんでした。


    「でもなんで、出発直前の関西のお客さんだと言うことはわかってるはずだろう?それに書留速達にすれば問題ないだろう。」

    A君
    「書留と昨日おっしゃいました、速達はパスポート送るとき安全じゃないでしょうだから今日送れる書留にしました。」


    「書留を速達にすれば問題ないだろう。」

    A君
    「でも速達にしろとはおっしゃってませんでした、書留でと聞きましたし。」


    「あのさー、出発案内急ぎで出してもらうのは何回か時間外窓口に行ってもらってるよねパスポートとか航空券書留速達で出してもらったことはない?」

    A君
    「いや私の場合、出発案内を何通か速達で出しただけです。」


    「じゃあね、あの窓口速達用の窓口だということ知ってるよね。」

    A君
    「それは知ってますが、昨日は書留で出してくれと言われましたので。」


    「書留と速達どう違うか知ってるよね、料金表ここバイトに来た最初の日コピー渡してるし説明もしてるし。」

    A君
    「知ってます、書留はいちいち郵便局で記録チェックするので安全だけど遅くなる、速達は普通郵便より優先で配達されるので早くつくし書留のように記 録されないので早くつく、ただし記録残らないので安全じゃない。」


    「間違ってはいないけど、料金の仕組みちゃんと覚えてないんじゃないの。まず普通郵便料金があって重さと大きさで料金が変わるよね、それから特別料 金があって、早くつく便が速達料金、貴重品送るのが書留料金、郵便料金と いうのは、普通料金に+速達料金+書留料金とどんどん足していく様になっ てる。料金表渡したとき説明してるぜ!!!」

    A君
    「えっ、普通郵便と書留料金と速達料金は別々じゃないんですか。」


    「別は別だけどさ..................。」

     アルバイト初日に一時間ほど使って郵便料金の仕組みを説明しても必ず何人かがやってくれる間違いがあります。
    例えば、定型普通郵便25グラムまで¥80です。これを速達にするとプラス¥270、定型の速達郵便は最低¥350必要です。これを説明した後に何日間かは郵便物チェックしてないと、速達郵便に¥270しか張ってないものが何通かでてきます。うっかりというのは誰にでもありますが、そうではなく説明を聞いてないし、郵便物自体を自分で出したことのないのが何人かいるのではないかと思われます。



    郵便に関してはこんなこともありました。

    ベトナムがやっと自由旅行ができるようになった頃、現地のホテルのレセプションの係員と友達になりました。写真何枚か撮ったので日本から送ることにしました。そのときたまたま、外国郵便の料金表を誰かが使って所定の位置に返してなく、料金がわかりません。仕方ないので郵送物入れる箱に切手張らずに放り込んでおきました。

    外出から帰って郵送物の箱見ると誰か投函してくれたらしくほかの郵送物も含めて空っぽになってます。珍しいことがあるもんだなと思ったのですがまあ、バイトなれてきて仕事早くなってきたと少しうれしくなりました。いつもなら「外出するとき必ず郵便物あったらポストに投函してよ」というところです。

    えらい今回手際が良いやと思ったのです。ちょっと引っかかることもあったので聞いてみました。
    「エーと、郵便物の中にベトナムへの封筒あったと思うけどちゃんと料金調べて切手張ってくれた?」

    専門学生の一人から返事ありました。
    「ええ、25グラム越えていたので¥70円切手張って出しときました」

    昔は、25グラム越えて50グラムまでは70円でしたが、それ日本国内だけの話で、ベトナムは外国ですし、封筒の宛名も英語で書いたあったし、エアメールと大きく赤でかいてあったように思うのですが。

    それから私ども、新しい研修生くるたびに郵便物の料金体系の説明と発送の仕方、一時間づつ2回に分けて具体例を挙げて一人一人反復確認をする様にしました。

    今までで一番使い物になった連中は、デビュウー前の無名のロックバンド「ネルソープ」のメンバーでした。徹夜も平気だし、トラブルになってもそれなりに対応能力があって助かりました。100%手放しでほめられるわけではなかったのですが、専門学校研修生よりは数段ましでした。毒もかなりありましたけどね。

    そのうちの一人、リーダー格のT君かって博多で伝説のロックバンド「ロッカーズ」のメンバー3人のうちの一人でした。残念なことに、数年前バイク事故で亡くなってしまいました。

    残りの二人のうちの一人は今ビックネームになっています。名前を「陣内」といいます。T君がうちのアルバイトしてた頃は陣内氏はソロで活動し始めた頃で直説私らとの接点はありませんですが。

    このようなわけで旅行専門学校に通っていても旅行業界に適してるとは決していえないのです。

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