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「トラベルメイト98」
  1. 【 航空券(3) 】

     航空券のみを売ると言うことは一口で言えば、旅行の商品の一部分のみを売ると言うことです。つまりそれはほかの業界でたとえれば、住宅販売会社と材木屋みたいなものです。ただ違うのは、旅行の業界では両方を売っている会社がほとんどで、住宅販売の会社は一般的に材木の小売りはしていません。材木売るには物理的にかなりのスペースが必要ですしね。

     旅行会社が売ってる旅行商品の一部だから、航空券も旅行の商品だろうとほとんどの方は判断すると思います。ところが本来の意味の旅行商品は、たくさんのバラエティに富んだ旅のパーツを組み合わせお互いの動きをそれぞれ調整し一つの有機体にも似た状態にまでなじませて、消費者に売るものです。

     もちろん現実では、そうちゃんと練り上げたものは少ないでしょうし予算限度額も双方にありますからどこかに欠陥があるか工夫しなければならない状態で商品化されてるのが普通です。まあこれは仕方ないことなんでしょう。

     航空券だけを売ると言うことは、その瞬間は旅行会社は材木屋になっていると思って差し支えありません。そこでは普通家の間取りとか住宅機器の相談、インテリアの相談はしないでしょう。この家作るのに何リューベの材木が必要でしょうとか良い大工さんいませんかねの相談は乗ってくれるかもしれません。しかし材木屋へ行く目的は、材木を買いに行くのであって、行く前には自分でどんな材木がどれだけ必要か、という予定は立てておかねばなりません。住宅販売会社と材木屋の違いは目に見える物品の違いでもありますので混同する人は少ないと思います。旅行会社へ行くときはこのあたりが中途半端な人が多いようです。実際旅行商品は目に見えませんしね。

     航空券を購入すると言うことは、旅行の商品を購入することではありません。これは先に説明しました。ということは旅行相談は航空券のみを買っただけでは、サービスとして付いてきません。航空券の使い方も最低限のことは説明しますが、それがお客さんに完全に理解できてるかどうかまでは面倒は見切れません。初心者への相談ほど時間がかかって後でトラブリ易く、説明が不十分だと文句を言われやすいものはないからです。

     まず彼らは解らないところが解りません。つまりどこが解らないか解らないわけです。言葉の意味が実際旅行を体験してないので、イメージとして頭の中に実体化されていません。どんなちゃらんぽらんな人でも、ハワイに一回でも行けばホノルルの空港のイメージが頭にちゃんと浮かぶでしょう。そのイメージがあればこちらとしてもハワイの説明はしやすいのです。空港の出入国の説明もやはり実際のイメージが何回も経験している人の方がしっかり浮かぶので簡単に説明できます。

     中級者以上の人がお客さんの時はお互いしゃべる言葉の数も、確認も少なくてすみます。極端になると出発日時と航空会社の希望を聞いて、予約、そしてOKがとれれば料金を電話で伝えて、集合場所と時間、集合名をファックス、パスポートの有効期間を自分でチェックしてもらって終わり。「じゃ集合に遅れないよう、たのみます」この間30分ということもあります。

     航空券のみの人に使える時間とサービスはせいぜいが中級の下くらいの人の知識と体験が基準になります。スタンダードなら中級者の中くらいのグレードの人が基準でしょうがそれでは対象人数が少なくなりますのでもうちょっと対象を広げてというところです。

     それじゃ初心者は立つ瀬がないじゃないかと言うことになりますが、そうです、本当に立つ瀬がありません。自分で曲がりなりにも知識を蓄え、今から経験を積むしかありません。誰も助けてはくれません。それなりにコストを負担してもらえれば、それなりに教えることはできます。ただし、航空券を買いに旅行会社のカウンターにきてからでは遅すぎます。

     航空券の一般的な手数料の平均は3%〜9%、5万円のものをかってもらっても多めに見積もって9%、4500円の手数料、あなたへの説明に使った時間が3時間だとするとその間の人件費少なめに見積もって3000円、残り1500円で、電話代に事務所の家賃等をひねり出さなければなりません。100人月間担当したとして15万円の粗利、しかし一人相談時間3時間としたら、月300時間延べ必要、まるまる寝ないで対応して12.5日こりゃ不可能です。

     実際は、単価が五万円以上のケースは多いですし、そうなると手数料も1万円を超えることもあります、100人が100人とも一人一人参加ではなく友人同士と言うこともありますのでもっと手間は減ります。そしてそうだとしても、どう考えても全くの初心者に航空券の説明をするのに3時間では十分な時間ではありません。航空券だけの手配でもある程度の情報の相談をしながらの手配だと月100人がかなりがんばってもいいとこです。かなり慣れたとして一人で月150人受け持ったら何とかはなりますが、毎日胃から酸っぱいものが逆流してくる日々になります。(単品のもの、例えばアメリカ行きの中でもUAのみの手配などの場合は、もっと人数受け持つのは可能ですが。)

     現実に航空券のみの販売の場合、旅行商品販売と同じような相談は不可能です。今の商品の価格に10%程度の相談料が上乗せできれば可能でしょうが、相談料別途10%必要となったら多分だれもその会社へは申し込まないでしょう。

     広告には旅の情報満載のガイドブック無料提供とか、豊富な現地情報、難しいリクエストもお気軽にとかありますが、初心者のあなたにとって「豚に真珠、馬の耳に念仏」のたぐいになってしまいます。確かに広告にうたわれてることは、全くの嘘ではないでしょう、あなたが初心者なら情報満載のガイドブックをみてもどの情報が自分に必要なのか皆目見当がつきません、豊富な現地情報をカウンターで応対してくれた係員が持っていたとしても、あなたが質問できることは「予算を使わず、面白い安全な自由旅行するにはどの国へ行ったらいいのでしょう。」。そんなもの誰もわかりません。

     難しいリクエストもお気軽にとあっても、あなたには難しいリクエスト自体ができません。広告のコピーにあることが、本当に用意されていたとしてもそれをうまく利用できるのは中級者以上の人です。(広告ですから、本当には用意されてないこともありますし)しかも皮肉なことに、中級者以上は旅行会社が用意している情報以上のものを持ってることが多いのでこれも役には立たないことが多いのです。また、旅行会社は、特に航空券をメインに売ってるところはべらぼうに忙しいことが多いので親切に初心者の面倒をみられる時間などありません。本当はいい人で時間をかけてじっくりと思っても、体力も気力も残ってないいい人にはしんどすぎる話です。

    ちょっと長くなりました、航空券(4)へ続きます。

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