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「トラベルメイト95」
- 【 旅行という商品についてとついでに旅行業界について 】
後で詳しく旅行業界の話をしますが、この章では一応ざっとですが理解を助けるため大まかに説明をしておきます。
ここ2、3年の大学生の希望する会社のベスト10に旅行会社が入っているようですが、業界の中にいるものにとってはちょっと信じられないなと言う感じです。他の業界に比べてあまり給料が高くないし歳をとってもそう年収は増えないところです。唯一良い点はイメージが悪くないのと、一見楽しそうな雰囲気があるところくらいでしょうか。
ここ10年くらいで成長したまだ若い業界と言うこともあるでしょうし、お客さん自体もまだこなれてないので全体的に過渡期の部分があるのかもしれません。
販売している商品としては一見高額ですが、粗利のパーセントから見ると本当に薄利の商品です。ほぼ100%に近いお客さんはスーパーとかディスカウント屋でものを買っている雰囲気はなく、デパートの外商でものを買っているようなサービスを要求しますが、粗利のパーセントから言うとほとんどの商品が10%以下の粗利しかありません平均5−7%くらいでしょうか。 キャンペーンなどになると、一人500円から1000円の粗利しかないときもあります。
商品自体の性格も、現物が形として目の前にあるわけではないので非常に理解しにくいものがあります。出発前まで旅行者の目に触れるものは、紙に印刷されたパンフレットだけです。もっとそっけないのは航空券のみの人で、彼は目的地へ行くための移動の権利を買っただけで航空券の現物というのは確かにあるのですがそこにあるものは、血沸き肉踊る言葉が書かれているわけでもなくただ単にアルファベットと数字の羅列です。
趣味のものを買ったときの、あの充実感は旅行の商品にはありません。あの名機のニコンF、マランツの管球アンプ、良きライバルのマッキントッシュアンプ、大島の反物、ピアジュの時計、ポルシュエデザインの鞄、RV車のチェロキーJEEP、これらはショーウインドウに飾ってあるものを見るだけでも30分、1時間過ごせます。航空券とかパンフレットを見て数時間過ごすことができますか? まあパンフレットに関しては旅行をイメージ想像して楽しむこともできるでしょうが、旅行自体をさわったり、ショーウィンドウで見ることはできません。
実体がないものは、どうとでも書くことができますし、どう想像することもできます。実体とイメージと現実、旅行の商品ほどこれらの落差が大きい商品は他にはありません。ですから商品を見分けるのにはかなりの時間と経験が必要です。
○旅行商品は時間です
旅行商品は基本的には時間を売っています。何月何日発のバンコック行きで午前中出発、できたら直行便の時間が短い便、リゾートでの滞在は何にもせずのーんびりする過ごすのが良い、この町は見所が多いので地下鉄を使って効率よく回らないと1日ではとても回り切れません、どうです? ほとんどのことが時間、日時に絡んできますでしょう。
航空券だけをとっても、週末はウイークデイより料金が高かったり、午前中の出発が午後出発より高いことも多々あります。実際航空券はもろに時間の秤売りです。何月何日の何時何分発の東京発ローマ行き搭乗時間13時間の移動の権利を買うわけですから。
年末年始とかお盆のピークシーズンになりますとたくさんの人が同じような日程・時間を希望します。時間はどんなに旅行者が多くとも増やすわけには行きません、飛行機などの機材はチャーター便を出したり、大きめの飛行機に代えたりすれば少しは同じ時間に運べる量を増やすことはできますが、それも限度があります。ピークシーズンは、毎年いつも変わらず高くて混雑しており旅行にはもっとも適してない季節です(休暇が取れなければどうしようもありませんから仕方ありませんが)。
○ピークシーズンの席
実際に混んでいるピークシーズンの席をさらに大混乱に陥れ、いつ取れるかかいもく見当がつかなくなる原因は、ダブルブッキングです。気持ちはよく解ります。予約していてもOKではないと言われたら不安でしょうがありません、その時点では旅行に行けるかいけないか判断ができないからです。でもそうだからと言ってあちこちの旅行会社に予約を入れまくるのは考えものです。
普通1カ月前まではキャンセルチャージがかかりませんから、金銭的には5社に予約を入れても10社に入れても、1カ月前までにキャンセルを伝えれば何の問題もおきません。ところが5社に予約したとしたら延べ人数は5倍にふくれあがります。10社に予約したとしたら10倍です。ただでも込み合うピークに見かけ上の予約が5倍10倍入ってきたとしたらもう最悪です。実際に飛ぶ人より架空の予約が多くなっているわけですから名前を整理していくのに大変な手間がかかります。旅行会社の手間がかかるだけではなく、旅行者自身もなかなか予約が取れないと言う結果になります。
どこか1社に予約を絞り、その中で取れそうな航空会社に2、3社予約を入れてもらうというのはかまわないと思います。ある程度プロの目で見ての予約ですからそうランダムに予約の数は増えませんので一応のはどめにはなるからです。
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