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「トラベルメイト95」
- 【 他の人より 】
前の文章で−他の人より−と言う部分が重要ですといいましたが、遊びとしての旅行を楽しむ上で大変重要なキーワードです。パッケージで出発する人はまだそうではありませんが、航空券だけで出発するいわゆるエアオンリーの人は、空港が近ずくにつれだんだん肩に力が入ってきます。
空港行きのバスとか電車に乗る前ですと一般人の方が回りに多いのでちょっぴり優越感などを感じたりしているのですが、回りが海外旅行に行く人だらけのバス・電車に乗ったらもうダメです。サムソナイトのスーツケースを持ったパッケージ派はスーツケースを持ったもの同士で横目で相手の着ているもので、どのくらいのものを着ているかどこのツアーに参加しているのか値踏みのしあいです。エアオンリー派はスーツケース派は無視しながら、着ているジーンズ、スニーカー、かついでいるバッグでこいつどの程度慣れているんだろうと、これも横目で火花を散らします。
誰かが話を始めますと横でも決まって同じような話題が始まります。
「去年もハワイで今年もあまり行きたくなかったんだけど子どもが初めてだもんで」
「去年乗ったシンガポール航空のスチュワデスはよかったんだけど、今年は日本航空であまり期待できないかな」
「グアムのPICホテル、1回目ならよいかもしれないけども2回目だから飽きちゃうね」
エアオンリー派もまけてはいません。
「ニューヨークって時差が180度真反対だからきついよ、去年旅行したときにはね」
「一人旅してるとまいっちゃうぜ、インドもう3回目だけどもいつも帰ってくるとカルチャーギャップでたいへんだよ」
「イタリアの田舎旅行してるとなかなかはまるよ、食い物もなんせ本場だから東京のイタリア料理屋なんて目じゃないし」
「俺最近バンコックは楽宮に泊まってるけど、長期滞在の沈没している連中毎日薬だよ、ハハハ」
喋ってる本人達はオーディションを受けている俳優の気分ですが、周りの人は突然電車の中で携帯電話を出したサラリーマンに一瞬だけ注目するのと同じくらいしか気にもとめません。
さてチェックインが終わり目的地への飛行機の中でも、「他の人と比べると……だ」というのは重要なキーワードです。隣に座ったのがパッケージ参加者同士ならば「どこへ何日間行かれますか」くらいから話が始まり、まあ料金の話もついでと言う感じで終わり、お互い去年行った旅行先の話などで盛り上がって終わりになります。
片方が航空券だけ、もう片方がパッケージですと、どうしても航空券だけの自由旅行派が自分の旅行への思い入れについて説教っぽい話を始めるのでお互い話がかみ合いません。
両方が航空券だけ日本で手配してから出かけてきたもの同士ですと、こいつどのくらい旅行ずれしてるんだろうとお互いの実力のさぐり合いです。まず手始めに「どこまで行くんですか、バンコックまで?」行き先の調査です。次は航空券をいくらで買ったかが問題になります
「切符いくらでした?」
「4万5千円ですか、へー、で60日オープンですか?」
先に聞いた方が自分の買った料金をはっきり言うときは安く買ってるときだけです
「ぼくは4万2千円でした、まあ、あまり変わんないですね。へへ。」
同じ料金の時は、シンプルに
「同じですね」。
ちょとだけ高いときは
「大体同じですね、相場ってあまり変わらないものですね。」、
すごく高く買ったときは
「それどこで買いました、私の買ったよりちょっと安いですね、参考までに教えてくださ い。」
常にそこにあるのは、他の人よりか、他の人に比べてです。自分が今旅行の慣れで言えばどのくらいの所にいるのかを知ることは悪いことではありませんし、優越感を持ったり劣等感を持ったりすることは自然のことです。ですが、ここでもう一度考えてみてください。
何のために旅行へ出かけるのでしょうか。目的は他の人に勝つためでも、人生勉強をするためでもありません。
「遊びに行くのです」。
今までは働いていたけど、ちょっと難しく言うと生産活動をしていたけども、
「今日からは遊びだ、金を使うぞ。」と言うことです。
せっかく高くはない予算を使って出発するのですから、楽しくいい加減なことをやりましょう。
他の人が航空券を買った値段なんかどうだってよいでしょう、あなたが楽しむことが一番です。
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