トラベルメイト > トラベルメイト95
<<前のページ 次のページ>>
「トラベルメイト95」
- 【不幸にも問題が起きた】
これで話をやめようと思っていたのですが、前半の部分で後編で説明するといった旅行に付き物のトラブルの話をまだしてないことに気づきました。最近はガイドブックも、旅行は素晴らしいの一点張りではなくトラブルも多いから気を付けることと一筆入り、実際のエピソードが書かれることも多くなっています。ここではエピソード集ではなくトラブルにはどう言う物があるか、そしてどう対処したらいいのかをまとめておきます。
初心者のころはトラブルと言っても何がトラブルなのかよく判らないとおもいます。本とか雑誌をよく読んでたくさんのトラブルのケースを勉強しても現実にトラブルにあたると戸惑ってしまいます。実際のトラブルは文章になったとたん現実の何分の一かに圧縮され濃縮ジュース状態になります。これを理解するには何倍かに薄めて元の状態に近くしてやらないとダメなわけですが、薄めて飲める状態にしたとしても元々のトラブルとはちょっと違うものになっています。そして初心者のころは一番ここが戸惑うのですが、何倍に薄めたら一番良いのかがまずわかりません。味はジュースの濃度に応じて変わっていきます。ですから実体験のない知識は百パーセントダメとは言いませんがあまり役には立ちません。
トラブルには大まかに分けて三種類の物があります。慣れてないことにより起こる物、これは実際はトラブルでも何でもないのに本人がトラブルだと思いこんでしまうケースも含まれます。ほとんどが初心者の時に起きますが、かなり熟練していても疲れによる不注意とか同行者が超初心者のため巻き添えを食うと言うケースもあり得ます。
次には後から考えるとどうしてこんな事が起きたのだろう次からは気を付けて行動しなければ、と原因が特定でき易いトラブル、本人の旅慣れによってかなり減らせる物と、本人以外の原因なら前もってその兆候が判り易くなお対処しやすい物に分かれます。
最後は、どう頑張っても避けられない物これは兆候なしに突然来る外部的な物か、または人間の限界を超える注意力と勘がなけば避けらないようなどうしようもない物です。
最後のトラブルはこれはどうしようもありません、旅行にでる限りはすべての人に可能性は少ないとはいえあり得ます。保険をかけておくか、運に任せるしかありません。具体的には飛行機事故、本人に責任のない自動車事故、ホテルの火災、通り魔による傷害または死亡、等など、この中でも自分が運転しているときの自動車事故などはある程度注意することで避けれることもありますし、通り魔による事故もそういう事故が多発する所に行かないことで防ぐこともできますが、安全だと一見思える高級ホテルのロビーであっても可能性はありますし、歩道を歩いているときに車がつっこんでくることもあります、こういうときは不可抗力です、不可抗力なら後始末に関しては色々な方法はあり得ますが前持っての対策は全くありません。
次の本人の旅慣れで減らせるトラブルは、例えば食中毒、スリ置き引き、詐欺、飛行機の座席の確保、旅行会社あるいは航空会社との手配の行き違い、諸々の病気一般、等、ほとんどのトラブルがやり方次第ではかなり減りますし起こってもそう深刻な結果にまではならないで済みます。このクラスのトラブルはもう旅慣れしかありません。一日でも。一回でも多く旅行して、一都市でも、一カ国でも多く体験することしかありません。そうすることによって旅行のツボが段々判ってきます。これが分かり始めると、毎日毎日力一杯旅行を続けることはできませんから、良い意味での手抜きをしなければ体も心も持たないことが分かり始めます。トラブルはすべてが自分の責任でもなく、他人の責任でもないので、どの程度の割合に判断するのがほど良いのか見極めないと相手に文句も言えません。
本人次第でトラブルを減らせる人達は多分中級者から上級者にかけての自分でかなりのことができるようになった人達です。何回も繰り返し同じ様なトラブルを経験していますので、そうなったときの感情のコントロールと、対症療法がべらぼうにうまくなっています。トラブルは極力避けてください。トラブルはトラブルですから絶対歓迎すべき物ではありません。もし今までの体験からして多分トラブルになるだろうと想像できて、避けるだけの余裕があったならその行動はやってはいけません。旅行にはトラブルは付き物ですが、旅行の目的はトラブルを体験することではないのです。ここいらを誤解しないでください。
「トラブルを何回も克服して私は旅行に慣れ沢山の体験ができた、トラブルは恐れてはいけない必ず旅行中には起きる物だから真正面から立ち向かわなければならない。」こう思っている人は多くありませんか。特に中級クラスの人は。
あなたは時間と、お金と体力と精神力と、とにかく全精力を使って、旅行という遊びを楽しんでいるわけです。遊びたいのだけれども、実際には実力と現実がうまくかみ合わなくてうまく行かなかったり、自分は完全な行動を取ったけれど、相手がドジをした為巻き添えを食ったり、どうしようもない不可抗力でトラブルに巻き込まれる事はよくあります。遊びを楽しむことを続けているからあなたは沢山の面白い体験もでき、多くの国を回り多くの人にあって旅になれてきているので、トラブルがあったからではありません。トラブルがたくさんあっても何回も何回も乗り越えて旅行を続けているから段々旅行が面白くなってきているのです、トラブルを乗り越えたから旅行が面白くなってきたのではなく、それにもかかわらず旅行を続けているから楽しくなっていくのです。
トラブルは正面切って立ち向かわなくとも時間が解決してくれることもあります。でも大体は早い内から適切な処理をすれば大きなトラブルにはならないでうまく終わることが多いのです。旅行中はできたらトラブルはない方が絶対良いです。もし避けれる物ならばトラブルは真正面からつっこんでいくのではなく避けてください。臆病だと言われようが、弱虫と言われようが危険だと思ったり気が進まなかったら回り道するか、Uターンしてください。「三十六計逃げるにしかず。」と言います。どうも気が進まないと言うときにはあなたの実力では今の所どうも危険だと自分で判断していることになります。そんなときはトラブルになる前に、実力以上のことをしようとすることを、いったん中止です。
起こったトラブルを処理すると気分はもう最高です。また三歩は人生が進んだ、矢でも鉄砲でも持ってこいの心境になります。でもこれは処理に成功したときのことでいったん失敗して多くの時間を使ってしまった時には旅行の楽しさはその時点では半減します。最終的にはトラブルは何とかするにしてもトラブルがなくて旅行を続けていた方がずっとましです。旅行にでる以上トラブルは避けられない物ですし、いつかは来る物ですが好んでトラブルの中に飛び込むことはありません。避けても避けてもいつかはあなたに回ってきますから、好んで向き合うことはありません。
旅行がいったん終わって旅行中の出来事をじっくり考えるときにはトラブルは肉料理のスパイスのようにその体験を、より美味しい物に仕上げます。もう旅行はこんりんざい行かない、思い出だけがあればいいしそれを人に話せることは素晴らしい、と言う立場の人ならそれも良いでしょう。ですがこれから旅行に出かける人は、トラブルはスパイスではなく、即痛みであり苦悩です取り除けるなら取り除いてください。下手に処理を誤ると大変なことにもなりかねない可能性があります。特に中上級者の方々精いっぱい背伸びをして自分の実力の百二十パーセントで、旅行中飛ばすことは、今まで処理し切れたトラブルでもいつか処理しきれないところまで行ってしまうことがあります。トラブルは必ず何とか処理しきれる物ではなく、処理しきれないことだってあり得ますしそうなったときは、一個のトラブルを処理したら、その先には楽しい旅行ではなく、もっと大きなトラブルが待っていることだってあります。
こうは考えないでください「トラブルがあるから旅行は面白い、それをくぐり抜けるにしたがって旅行は段々面白くなっていく」、もっとシンプルに考えてください、「旅行にでることはトラブルのリスクを必ず覚悟することです、でもトラブルがなくて旅行を続ける方がもっと楽しいしもっとためになります。私自身のもてる力を最大限動員して避けれるトラブルは避けるよう努力したい。」
初心者の人へのアドバイスは多すぎてなかなか難しい物があります。まず一つだけ重要な事をと言いますと、「見栄を張ってはいけません」の一言です。初心者ほど見栄を張りたがります、一番見栄を張りたがる時期ですが、一番見栄が他人に通用しないときでもあります。「みえ、みえ」と言う言葉がありますが、初心者の見栄は、他人から見たらそれこそ「みえ、みえ」の底の浅い物なのです。どんなにガイドブックを読んでも、ビデオを見ても、実体験のないあなたは、誰が見ても初心者の素人です。何回も何回も恥をかかなければ慣れては行きません。本当は初心者が初心者らしいのは恥でも何でもありませんが、もし恥の感覚のある人はそれがすり減るまで恥をかかなければいけません。何の世界でもそうですが、最初から見栄を張らずに分からないことは分からないと教えて貰った方が数倍の進歩をします。(自慢はしてください)
どんな人も最初は素人です。今えらそうにトラベルライターをしてる人も、作家も、写真家も、ジャーナリストも最初はとんでも無い失敗をしています。その中で一番くだらなくて、一番多い、そして一番無意味なトラブルは、知ったか振りと見栄から来る物です。
この本に協力して貰ったそれぞれ二十四人も同じです。ナンバー六の私も同じです。皆さんほとんど上級者の今になってもこの見栄と知ったか振りには悩まされていますので、初心者の方にえらそうには言えないかも知れませんが、少なくともトラブルになるような見栄と知ったか振りは、もう今までの体験で身に染みてすごいことになるのは分かっていますのでほとんどしません。(でも百パーセントと言えないところがつらいのですが)
最初から枕詞に「私は海外旅行は慣れてませんが」と付ける必要はありませんが、わからなけれは素直に聞いてください。ちゃんと礼儀正しく聞けば、空港の係員も、旅行会社の係員も、タクシーの運転手も、警官もそうぶっきらぼうで不親切でもありません。そういう点で初心者の方にすごく良いテキストがありましたので最後に取り上げておきます。
<<前のページ 次のページ>>
↑ページ最上部