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トラベルメイトトラベルメイト95

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「トラベルメイト95」
  1. 【初心者の自慢の気】

     初心者の自慢は、同じ初心者から見ると自分に喧嘩をふっかけてるように思えます。中級者から見るとうるさくてしょうがありません。上級者から見るとほほえましく見えます。

     これはどう頑張ろうが、出発前に本を読んだり映画を見たりして沢山の知識を仕入れていってもたち振る舞いに初心者だと出てしまいます。中級者くらいになるとたったあんなくらいのことで何で悩んだのだろうと言うくらいのことでも初心者は悩みます。内気な人も外向的な人も、暗いのも明るいのも、軽いのも重いのも一緒です。どっちかと言えば後者の方が外目はいいですけども。日頃内気な奴が、無理にアドレナリンやエンドルフィンをがんがんだしてはしゃいでいるのはちょっと見てられない雰囲気はしますが、強いて比べれば違うと言うだけでまあ五十歩百歩でしょう。

     雑誌などの特集でよくあるのが、「ちょっとしたこつを覚えれば旅の通らしく見られる」方法です。雑誌DIMEで去年あたり特集をやってましたし、ホイチョイプロダクションの「見栄講座」等もこの系統に入ります。これらはほとんど実用的ではない夢物語の話だと言うことはこの本でかなり前半の部分でお話ししました。初心者はどう逆立ちしようが、ぼろおぼろのGパンをはいていこうが、アウトドア専門店でそれなりのリュックとファッションを決めたとしても初心者にしか見えません。中級者に行くには、時間とお金とをかけねばなりません。

     面白くもなんともない事を反復して繰り返す、切符をかって予約して空港に行ってチェックインして、飛行機に乗ってそのあいだ複雑な書類の手続きを一点のミスもないように進め、大して興味もない観光地を回り、緊張と疲れで味さえ解らないうまくもない夕食を食べ、夜は疲れてズボンをはいたままベッドで寝込んでしまい寝苦しくて目が覚めたのが午前五時、そうだ今日は七時にロビー集合だ、そう思うともう寝付けない。

     旅行に出たてのころは初心者はパッケージの参加者も個人旅行も同じ様な物です。違うのは、パッケージの方が疲れようが体調がいまいちだろうが考えるまでもなく次の日の行動が決まっていて半ば強制的に体を動かすしかないことです。(パッケージで今日は体調が悪いから今日一日の観光はパスというのはかなりの勇気が要ります)これは最初のころは海外になれるには一番の方法です。自分で日程がコントロールできるはずの一人旅は、くたくたにつかれた日の次の日は多分観光は行かないでしょう。慣れてくればこれは体調のためしょうがないことなんだと納得がいきますが、初心者のころは、計画した日程通りに行かなかったことで一日中悩んだりします。

     こういう状態が何日間続いたとしても旅行はいつかはいったん終わります。苦しかった体験も日時がたつにつれ、よくぞ乗り切った成長の記録となります。きっと他の人に話したくなります。超初心者からかなり進化したし、少しは旅行のことを話しても良い。ハクはついたのだから。これこそ、超初心者の旅行目的の一番大きな部分です。あなたは多分気がついています。「自分の話など、他の人に通用するほど深みもなく洗練されていない」。でも話したい!

     話して良いんです、かっこわるいなどと押さえる必要はありません、青春時代のニキビと一緒で必ず出てくる物なのです。差し支えない範囲でどんどん相手を見つけて話しましょう。話せば、相手からのリアクションで少しずつ我に返り、気分も落ちついてきます。どうです、ぐだぐだ考えるより、初心者のころは旅行に出る動機は、ハクツケと自慢で十分でしょう。(もちろん観光以外の目的の時は動機は全然違う物になるでしょうが)

     実を言えば、中級者も、上級者も、アマチュアも旅行で食べているプロも基本は変わらないのです。やっぱり自慢したいです、ハクを付けてね。上級に行くほど、プロに近ずくほどストレートには出てきませんので自慢してることが分かりにくくなりますが。

     旅行の初心者のころは自分が何故旅行に出かけるかという意味を必要以上に考えがちです。まず格好を付けて「世界を知るため、異文化との交流、日本人自身を知るために、自分を国際化するために。。。。」、最近の一押しの流行は「自分探し」、でも本当の自分の動機を知っていないといつまで経っても満足しないし、気分が優れません。

     つまり本当は、こんな面白い話がパリであったよ、こんな危ない目にロスでであったけども切り抜けたよと周りの人に自慢すればそれなりに満足するのに、こんな話人にしても笑われる、自慢の種を探しに海外旅行に出かけてるんじゃない「いかに自分が変わったか」を話さなければなんて見当違いのことを思うからいつまで経ってもすっきりしません。

     まずは回りのいつも自分と張り合っている奴に「俺は海外旅行したぜ、おまえはまだだろう」と自慢するだけでスーと心のつっかえが取れます。身近なできるところから素早く実行、これは海外旅行中の鉄則でもあります。

     確かに回りから見たらこの自慢はうるさいし、初心者であることは見え見えになります。でもそれがどうしたと言うんでしょう。初心者が初心者らしく見えて何が悪いのでしょう。初心者は初心者にしか見えません。もしあなたの「見栄」に惑わされてあなたを、旅慣れしてる人に見てくれるような人がいたとしたら、その人はあなたよりもっと初心者です。そんな人に認めて貰っても嬉しくはないでしょう。少なくとも中級者に同等な人と認めてもらえればこれ以上の喜びはありませんでしょうが、現実では無理に近いでしょう。

     最初のころの旅行に出かけたいという情熱をうまく次につなげるには、初心者らしい自慢をするのがシンプルで最もいい方法です。初心者の「自慢の気」というのはかくも重要な物なのです。

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