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トラベルメイトトラベルメイト95

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「トラベルメイト95」
  1. 【どうして旅行に出るの】

     この問の答えは、初めて海外旅行に出かける人と、何回も旅行をして慣れてるベテランとは違うはずです。でもどんなベテランでも最初の海外旅行はあったはずでそのレベルで何故と問えば自ずと答えが出てくるように思います。ちょっと見にはたくさんの意見があるでしょう、動機があるでしょう。(人によっては、海外旅行なんか行きたくないのにビジネスのため行かされた人もいるでしょう、そういう人は除きます。自分で旅行に出たく思って実行した人の理由です。)
     「狭い日本から飛び出して自分で広い世界を見てみたかった」
     「日本で見失っていた、自分を捜しに」
     「ただの観光で」
     「疲れをとりに」
     「異文化の理解のために」
     もっともっとたくさんあります。箇条書きにして書き出すと百や二百直ぐ集まります。本当の理由を素直に考えますと、建て前でなく本音でと言うとですが、ほとんどの人が同じ理由による物と思います。

     それは単純シンプル「はくつけの為の洋行」昔から変わってはいません。もちろん千人の人がいれば千通り近くの人生があり、物心ついたころから海外は身近にあった人もいれば、二十歳過ぎて初めて海外旅行に出かけれる人もいます、退職してからの旅行が最初の人だっています。そういう雑多な人達の中で本音に近い海外旅行に初めて出かける動機の中で一番大きな割合を占めるのは「はくつけ」です。(箔付けをすると同時に発生する物は「自慢」です。自慢をしたいため箔付けをする訳です、箔付けは、同じ様な意味で自慢と言っても良いように思います)

     もうげっぷが出るほど旅行は行き倒した人も、今は「はくつけ」等意識もしてないでしょうが、最初のころはどうでした。最初の海外旅行から帰ってきたとき、空港から自宅までの帰りの電車でリュックをかついで日焼けしたあなたを周りの人がちらっとこっちを見てるような錯覚を味わったことはありませんか。出発前、喫茶店から旅行会社に電話をかけるとき「三月四日発のニューヨーク行きのユナイテッド航空を予約した田中ですが」と言ったとき、心なしか声が大きくなってたりしませんでした。

     やっと休暇を取って行った八日間のイタリア旅行、最初の海外旅行だったのですが、帰ってから同僚とか友人にイタリアはねとうるさがられませんでした。特に帰宅するときの満員電車の中で、どうしても、三日前に帰ったばかりのイタリアの話を同僚にしたくなったときはありませんか。そんな一回くらいイタリアに行ったくらいで、イタリア、イタリアと言うのも恥ずかしいと思って無理に話さなかった人も、目くそ鼻くそを笑う、同じレベルですぞ。

     素直に物を思い出したり考えてみると、海外旅行に行くことをまたは行ったことを自慢したいと思いませんでした。海外旅行に行くことが一種のステイタスになるとは考えませんでした。これであいつらとやっと同じレベルになるなんて思いませんでした?

     全然そんなことは思っても見なかった、私は私、海外旅行は私の個人の好みで出かけたいと思ったので人がどう思おうと関係ないと言ってるあなた、東京駅の成田イクスプレスのホームへいそぐ姿は、新品のグレゴリーのリュックと、LL.BEANのジャケットを着て、右足と右手が両方同時に出てますよ。 

     絶対に私はそんなことはないと言い張るあなた、ほら右手と左足、左手と右足がちゃんと交互に出て歩いているあなた。この言葉を三回繰り返してください。「箔を付けるぞ」「はくをつけるぞ」「ハクヲツケルゾ」どうです箔を付けたくなった気分になったでしょう。

     回りにごろごろしている海外旅行マニアに「やっぱ海外旅行ってそれはそれなりに面白いし目的は色々あるけどけど最終的に箔付けだと思わない」と聞いても大体同じ様な答えが返ってきます。

     「そうですね純粋に仕事で行っていてもそのあいだの面白そうなエピソードを、飲み屋で話すってのは気分いいしね。」

     「旅行中だって、旅行者のたまり場でいかに沢山のとこを面白く旅行したか話すのは快感ですし。」

     「お互い飛行機で隣り合わせになった時こいつどの程度できるかなと腹のさぐり合いになるし、できたら自慢できればそしてそれで相手がぎゃふんと言ってくれればもっといい。」

     「そうかな、考えればそういう面もかなりあるように思うね、旅行してきた自分がここにいると言いたいときやはり自慢の部分はあると思うし。」

     「俺なんかも周りの連中がほとんど海外旅行に出かけてたんで、自分だけ取り残されたような気分になってそれで旅行にでかけたんだけど、箔付けと言えばそうだね」
     箔付けは初心者のころには、旅行の動機のかなりの部分を占めるのですが慣れて来るに従って、マニアックな部分(例えばタイの料理にはまってしまうとか、アメリカの自動車レースに興味持つとか、イタリアのスキー場でしかスキーをしたくなくなったり)が多くなってくるので埋もれてしまって一見表面からは見え難くなってきます。でも、マニアになればなるだけそのことを自慢したくなるでしょう。

     「人は人自分は自分だし、別に他人に自慢するため旅行したいわけではなく自分を作るために旅行に出るのであってみんながそんなくだらない自慢のためにわざわざ海外旅行に出かけているのではない。」こういうもっともな意見を言う人もかなりいます。「人の悪口は言うもんではない」と言うのと同時に「人の悪口ほど面白い物はない」と言うのも真実です。今ここにいない奴の悪口で盛り上がるというのもすごく楽しくありませんか?

     たてまえばかり守ろうと思ってもすごくしんどくありませんか。旅行中にたてまえばかり守ろうと思ってると、回りから総好かんを食らってしまいます。一口で言うと食えない奴なのです。「人の悪口ほど面白いもんはない。」派になってから旅行へ出ないと大変ですよ。当然自分のいないところでは誰かが悪口を言って盛り上がっている事は了承しなければいけません。それこそ旅は寛容を教えるそのものなのです。

     まだハクツケに旅行に行くんではないと言い張る人、出発当日近所のおばさんに「どっか旅行、北海道でも行くの」と言われて「いやちょっとヨーロッパまで」と答えたあなたは、よく考えると、「ちょっと」の所で声がうわずりませんでしたか。あなたにとって初めての海外旅行が「いやちょっと」であるはずがないでしょう。でも「いやちょっと」と言ってしまいましたね。しかも声がうわずった。やっぱあんた自慢してるよ!

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