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入門講座理論編ー(41)
<旅行者の分類−1>
さて旅行者の項しめくくりです。旅行者という言葉の定義はいろいろありますが、単純にここでは旅行に行く人を全部旅行者とさせてもらいました。観光客という言葉もありますが、語感が「旅行者」の方がいいのでこちらを使わせてもら いました。最近旅行に出かける人は、ほとんど観光客といっても間違いではありませんからどちらを使っても良いのですが、たぶんみなさん「旅行者」と呼ばれた方が気分いいでしょう。
狭い意味での「旅行者」、旅行中にただ傍観者で見るだけでなく、相手にも何らかの影響を与えて変えていくような、遺伝子を運んでいくウイルスの役目の人は、本当に少数です。私の経験からして、数万人手配してその中の数十人、この中には自分の中を深く探求する形の小乗仏教的な人が大部分で、自分の外を含めて自分を外との影響の中で生かしてしまう大乗仏教的な人はさらに十分の一くらいでしょうか、これらの人たちの周りに彼らがやってることが理解できる人が数百人と言うところでしょうか。
つまりあくまで仮想のモデルですが、一万人旅行者がいたら、狭い意味での大乗仏教的旅行者が一人、小乗仏教的な意味の人も含めたら10人、それらを見て理解することが出来る人たちが90人、後の九千九百人はグレードの違いはあっても普通の旅行者です。(この九千九百人は、観光客といっても間違いではありません、最初の10人は決して観光客とはいえません。90人は見方によってはどちらともとれますが基本はやはり観光客です。見て理解することしかできませんから。)
最初のスタートの全く初心者の所から、頂点の一人まで誰でもチャンスがある かというと、考え方によってはチャンスはありますが一番的確な言い方をすれば 「頂点に立てる可能性を持ってる人でさえ大量にいるから、普通の努力しかしない人と平均的な能力の人は可能性さえない」と言えます。そしてこれらは静止して誰にでも見える物でなく、90人の人たちにとっても直感的にしか理解できない物でしょう。それを感じてからじっくり考え何らかの形にしたときにはもう現実の世界はかなり進んでしまっていて別の世界になって、ほとんどの場合世代交代が始まりもうすっかり代わっていることの方が多いように思います。じっくり構えないと、理解できない、しかしじっくり構えると、現実の世界はもう新しい物と代わってしまっている。
でもそのスピードについていったままでは目が回って吐き気がするだけでなんの言葉も映像も音もイメージすら得ることはできないでしょう。見て理解することはあなた自身が一時とどまり現実ではなく過去にさかのぼって、今瞬間見たイメージとか音とか言葉を昔体験した似たものと比べ合わせて理解する作業が必要です。
頂点に立つ一人は、走りながらそれが同時に出き、さらにその体験を走りながら語れる人でしょう。九人の人はいつも走ってるわけではなく、たまには歩くこともありますが、歩いてるときに限っては聞けば体験を教えてくれるかもしれません。90人は自分で生の世界を体験したり感じたりすることは不得意で、先頭 を行く十人の発するデーターを自分なりの言葉、イメージ、音に変換して理解します。この90人の作業で残りの9900人が理解できる形に体験が変わっていくのです。
みなさんはたぶん、作家とかライター、写真家、映画監督、画家、等のその他諸々の芸術家は先頭を行く十人がそうだと思われるでしょうが、ほとんどの場合彼らは90人のなかの住人です。9900人に分かる形で理解しようとすると、立ち止まってデーターを発酵させ、皆に分かる高級言語かGUIに変換する必要があります。商品化という作業も絶対必要ですし。
90人の人たちの周りには、10倍の900人の人たちがいます。この人達を古くはマニア、今風に言えば「オタク」といいます。彼らは情報を自分から積極的に探す人です。そのためのコストとか時間は彼らにはなんの障害でもありません。彼らは一見熱狂的で盲目のように見えますが、自分なりのこだわりへは、常に比較検討を繰り返します。その点では絶対探してきた情報を頭から鵜呑みにはしない人たちです。
彼らへは、先頭の十人のデータを商品化する必要はありません。かえって商品化することを拒みます。商品化すると言うことは、形を変え、熱処理したり、 防腐剤を入れたり、冷凍にしたり、着色したりする作業が入るからです。生ものは常に、手早く処理してそれなりの胃袋を持ってないと食中毒になる可能性がかなり高くなります。それでも彼らはやはり生ものを好みます。そこが「マニア」 のマニアックなところなのです。
900人の人たちの周りには、ほぼ二倍の2000人の「情報通」の人たちがいます。マニアほどは、全てを犠牲にしても生ものを手に入れようとしません。 塩鯖だってあじの干物だって(鯣もね!)それなりに新鮮な良い物で有れば刺身とは別の意味でうまいわけですから、そうは無理をしません。残りの7000人よりちょっとだけ情報が早くて、「さすが」といわれればそれで満足なのです。 旅行だけではなくほかの趣味もたくさんこの世の中には存在しますから。
残りの7000人の人たちは「流行」のものしか目に付きません。他の人と同じ物しか興味がわきません。そうすることによって常に多数派に属することができますし、他の人がやっている一般的なことで有れば時間もコストもそうかからないわけで「面倒な」事をやらなくてもすむわけです。効率の面から言えば、リスクも少なく、「流行」する前より流行り初めて一般化してしまった後が安くて短期間で同じ事が実現できるからベストともいえます。この人たちを普通の観光客としましょう。
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