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入門講座理論編ー(21)
ザボディショップのパンフレットの話から始まって、「沢木OS」の話になってしまいました。長々と(21)まで続きました。この辺で理論編のまとめをせねばなりません。大まかな基礎というか考え方は、何をするにしても必要です。この一番ベーシックの土台に借り物のハッポースチロールの杭を利用してはなりません。
「沢木耕太郎」を筆頭とした個人旅行派の表現する物とか、そのものの裏で流れる思想は一見すごく良さそうで体に優しく心の滋養になり、目から鱗の落ちる様な「本当の自分」を見つける手助けになりそうです。その表現する物で彼自身有名になったし、世間からも出版界からも一般メディアの世界からも認められ脂ののりきった活動をしています。
しかしあなたは彼ではありません。彼が自分の表現する物で人生の土台が強固な強化ガラス入りコンクリートで固めたとしても、その固め方のノウハウをあなたにわかりやすい文章で語ったとしても、あなたはあなたでありますから、そのノーハウはあなたにとって、借り物のコンクリートの色を塗ったハッポースチロールの張りぼてでしか有りません。
「深夜特急」にしても10年近くの推敲が行われています。十分寝かせて生の体験を発酵させたのでしょう。結果すごく上質のフナ寿司ができあがっています。しかしほとんどの人はこれを最高級の今取れたてのマグロのトロだと思っています。決まって皆さん言います、同じような旅行をしてみたい、彼の考え方に共感を覚えた。20年近く経ってるのにその感動は新鮮さを失っていない。フナ寿司ですよ「フナ寿司」、作るのに10年味わうのに数年、過去になってしか味わえないのです。味は新鮮なのではなく、熟れているのです。これを新鮮と言われたのでは味覚音痴と言うしか有りません。どちらもうまいことには違いがありませんが。
ジャキーチェンの映画では最後のエンドタイトルのところで,NG集がよくでてきます。一つのアクションするにも何十回繰り返し繰り返し痛い思いしながら成功するまで続ける。本編だけ見た人は結果だけ見てすごいと思ってしまうでしょう。実際は絶え間ない努力と天性の運動神経のたまものなのです。特に覚えていてほしいのは、前者は誰でもがんばれますが、後者はがんばってもどうも仕様のない物なのです。
「沢木OS」を実行しようとすることは、ジャッキーチェンの映画の本編だけを見るような物です。読むだけなら面白いけど、同じ事目の前で再現して見ろと言われたら、本人でもまず不可能でしょう。万が一の確率でなら成功するかもしれません。
そんなことを実行しようとしたり、実行を前提に研究したり、マニアックに掘り下げたりする事は無意味なことです。それよりもはるかに確率の高い(というより99,999%体験する)、NGの時の痛さとか怪我の研究をすべきなのです。
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