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入門講座理論編ー(19)
彼はボディショップのパンフで使われている言葉で言えば7号のモデルに当たると思います。卒業の一年前には丸の内に本社を構える企業の一つに入社が内定していて、雨のせいで一日で会社を辞めてしまった。
ママンが死んだそして太陽のせいで人を殺した「異邦人」そのままではないですか!かっこいいっす。ほとんどの人は、丸の内に本社構える企業の面接さえしてもらえないし、会社説明会の情報さえもらえなかったと言うのに。
「ルポタージュを書くという仕事に就いたのは、やはり偶然からだった」私どものお客さん、フリーのジャーナリストとかカメラマンというの多かったですがほとんどの人必死でどこかに良い金になる仕事ないか、血眼で探してました。そしてだんだん、顔が貧相になっていって、しゃべりも、ろれつまわんなくなっていつの間にか旅行の問い合わせもなくなり、DMのはがきも転居先不明で返送されてくるようになります。せっかく、ベトナムとかタイのルポタージュ書くといって出かけていったのにね。
「大学のゼミナールの教官が何か文章でも書いてみないかと雑誌社を紹介してくれたのだ」雑誌社って紹介で書かせてくれるところもあるのですね。ま、最もその紹介さえしてもらえる人いなかったのでしょう、うちのお客さん達。
「ところが、漠然と書き継いでいた文章が思いがけず一冊の本になった頃から、状況が急激に変化した。仕事の依頼が極端に増え始めたのだ。」「漠然」とねー、「漠然と」。「石にかじりついても」とがんばったのに、なごり雪のメロディで東京を離れて田舎に帰るしかない人たくさんいますのに。結局才能でしょうか。それにもう一つ、実家が東京だということ。
東京育ちでない一般の人は、ドーバー海峡泳いで渡るのにサポートの船雇う金たくさん必要です。金ないと船雇えません。それでも渡らねばいけないときあります。彼は意識しなくともサポート船は常に伴走しています。しかも伴走船の経費自分で負担する必要ありません。
伴走船に助けてもらわなかったとしても、横に常に無料のサポート船がいることだけで不安は半減します。
手元には、千数百ドルの資金、(今で言えば数百万のお金)、海外旅行に出かけたと言っても殺到する仕事。
「いつお帰りになりますか」そう聞かれること自体1年くらいは日本留守にしても、帰ったときの仕事もたぶん大丈夫と判断できます。年齢26才、たくましく世の中渡るには十分なほどの人生経験を彼は積んでいたでしょう。
片や。「片山くん」とか「田森くん」所持金、300$弱、年齢20前後。メディアにコネクション全然なし、文才等全然なし。「沢木くん」旅行から帰ってもたぶん物書きで食べていける才能あり、ということは旅行していてもその体験は金になるチャンス十分あり。
うーっむ、こう書いてくるとなんだか私らの周りの人たちかわいそうです。私も含めてスタート地点が「沢木くん」のずーと後で、マラソンで言えば一般参加の選手の一番最後あたりのTVにはゴールまで全然写るはずのないポジションを黙々走ってるようなもんです。
たまに注目されるとしたら、足を疲労骨折で痛めしかも5才になる長男が、難病で彼を勇気づける為に走ったなんてエピソードがあるときだけです。一般人にはメディアのスペースは三面しか用意されていません。記事書く方に回ることなど一兆分の一の可能性もありません。
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