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病の細道

 

第64回 気がかり (2002/04/08)

 

心臓バイパス手術を明日に控えできることはすべてやった。心配していた風邪もすっかりおさまった。血糖コントロールも朝食前107、食後2時間で127で安定している。新たに薬を追加したり、特別な治療もなく、呼吸訓練やうがい、シャワーだけが日課になった。

風邪をひいて手術が延期になったりもしたが、無理もせずいつのまにかここまで来た。がんばったりガマンしたり苦しんだりすることもなかった。毎日がゆったりとしていてとても充実している。こんなんならたまに病気になるのも悪くないなと思ったりもした。あとは手術を待つだけ。

しかし、こんな平穏な気持ちで目を閉じていると、思い浮かんでくるのはイスラエルとパレスチナの不幸だ。先日のAsahi.comによると多数のパレスチナ人が避難しているベツレヘムのキリスト生誕教会をイスラエル軍が包囲しているという。

イスラエルではキリスト教徒は少数派だ。ベツレヘムはパレスチナのイスラム教徒の街だ。911ではキリスト教とイスラム教との文明の衝突などと言われたが、キリストの生誕教会にイスラム教徒が避難し、そこをアメリカが支援するユダヤ人が攻撃しようとしているという現実は単純な文明対立論では説明できない。

希望をもってあえていえば、これがイスラエルとパレスチナの長く続いた対立の頂点になるのかもしれない。一見するとシャロンは優勢にみえるが追い詰められているようにも思える。すでにアラブ諸国はイスラエルを国家として認めている。国の存亡をかけたシャロンの世代の一途な亡霊は説得力を失いつつある。力まかせにこれ以上やればイスラエルは孤立する。残された道は融和しかない。

イスラエルを旅したとき生誕教会を訪れた。かがむようにして小さな入り口を入ると質素な古い聖堂があり、祭壇の下にもぐるとキリストが生まれたという岩穴があった。大きな教会ではなかったがとても印象に残っている。この教会が対立と和解の分水嶺になってほしいと願う。

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