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病の細道

 

第29回 糖尿大先輩 (2002/01/22)

 

広島の知人からメールをいただきました。その方のお父さんは73歳。以前、「父がパソコンをやりたいと言っている」とのお便りをいただき、すごいなーと感心させられたことがありました。

メールには、彼女のお父さんも25年間糖尿病で、さまざまな病気の経験をもつ大先輩であることが書かれていました。とても感動的で勇気づけられました。ぜひこの連載に転載したいとお願いしたところ快諾していただきました。


父は73歳のうち25年間を、糖尿とお友達で、今小島さんがたどられている、病の道の達人ともいえるかも知れません。
レーザー治療で、視力を回復し、2度にわたる脳梗塞、両足壊疽寸前まで、膿んでいるのも気がつかず、家族旅行に行き、帰ったら車椅子の入院生活。毎年もうだめかと思うほどのダメージを受けて、覚悟まで決める家族の心配をよそにオモイッキリ人生をエンジョイしているのです。

一昨年の脳梗塞の時は手がしびれるよ、口がしびれるよ、と訴えてから、3時間くらいでよだれが出て、ろれつが回らなくなり、夜中に慌てて病院に運びました。本人は明日の朝自分で行くよ、とのん気な事を言っていましたが、その夜の当直医が、脳神経外科の専門医で、内科的に見ると、糖尿からくる、末梢神経障害の治療をしますが、僕個人としては、脳梗塞を疑います。しかしココで脳梗塞の治療をすると一気に、糖尿に腎機能低下で、危ないかも知れないし、明日の朝まで検査を待って脳梗塞なら、間違いなく右半身麻痺です。娘さんどちらにするか今決めてください。と、父の人生を私に託し選択を迫られて、慌てました。

夜中12時を回り検査も出来ず、母は私の娘が一人になるから家で待つわ、とそれくらい切羽詰まったものでは無いと思っていたらしく、夫も残業でまだ会社。
当の父はう〜んどうしようか?なんとのん気な事を言う。結果的に酒タバコを止めるくらいなら、俺は太く短く生きるのだ。といいながらもタバコを止めた父の事を思うと、まだ楽しく生きたいの
だろうと、勝手に私の判断で脳梗塞の治療を選んだ。私にはとても大きな決断だが、意外と短い時間で選択してしまった。

朝になりやはり脳梗塞が2箇所あることが判り、そこからの治療は退院は、考えられない状態で時間を追うごとに悪化し、しゃべれなくなり、座れなくなり、トイレも間に合わない為、オムツの
お世話になるほどまでになってしまった。父がいつも言っていたのは惨めな姿で生き長らえるより、死を選ぶ。という意志に反した選択をしたのかと、少し後悔をしたが、今の父の回復ぶりは、目を見張るものがある。

目に見えて大きな後遺症はなく、運転も、グランドゴルフも、恒例の家族お正月旅行も元気にユニバーサルへ行って来た。
寄る年は仕方ないとしても、不死鳥のごとく復活した父。浴びるほど飲んでいたお酒も止め、生きていて良かったと思う姿を見ると、私の選択は、間違いではなかったと、ほっと胸をなでおろす。

医者いわく、信じられない回復で、私もビックリしています。早く運んでくれた娘さんに感謝してくださいね。足は向けて寝られませんよ。といわれ、トラのように近づきがたかった父は、猫の
ように言う事を聞く父に生まれ変わった。

病から気が弱くなった父を見ると、細く長く楽しく余生を過ごして欲しいと思う。何年か前からインスリンを打ち始め嫌がるが、これが父の生きる為のものと、あきらめてもらうしかない。家族にとっても、本人にとっても、厄介な糖尿病。仲良くやっていくしかないのでしょうね。

小島さんも無理はだめですよ。まだ何十年と生きなければいけないのですから、体は大切になさる事をお祈りしています。


大先輩の経験にはひたすら驚き、感心するばかりです。
自戒せねばと思う反面、とても自分にはまねできないなー、というのが正直なところです。大先輩にお会いできる日が待ちどおしいです。

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