インド・カルカッタ (30)
「田舎育ち、都会育ち、どっち。」
「今大学が大阪なんで、大阪に住んでますが、育ちは田舎です。」
「そうかそれなら理解しやすい。名もない田舎の普通の人と話するのが旅の醍醐味なら、インドまで来る必要ないじゃん、あんたの田舎でそこいらの野良仕事している人に話しかけた方が、目的のない旅としてはかなってんじゃないか。言葉も通じるし。心も通じ合えるんじゃないか。」
「田森さん、あんた何でインドくんだりまで来たわけ。」
くっそー、しゃれた反論できねー。
「日本と違う外国の文化体験する事は悪く無いじゃないですか。団体旅行だと一流ホテルにガイド付きで、現地の文化と直接ふれあう事出来ないですよ。」
「じゃあさ、安宿にガイド無しなら現地文化とふれあえるのか、外人専門の安宿の周りに普通の人沢山いるか。あんたらが接触する人間、安宿の従業員とか親爺土産物屋の店員、どこが普通の人達よ、それ専門のかなり特殊な職業の部類にはいると思うけど。それにガイドあった方が現地の事情早く理解できるじゃん。」
「田舎から大阪に出てくるときわくわくしただろう。何にもない所へ行くのと違って、目的有って都会だからだろう。都会を観光地と置き換えてみたらよくわかる、観光地とか都会それ自体が旅行の目的の一つだしメインだよ。田舎云々はそのずーっと後。」
「最初は基本な、応用はあるけどずーっと後の話、旅行で始めの奴とか、実際に旅行してない本ばかりの連中が、ふれあいとか、田舎の何もない所へ目的無しでなんて言うわけ。何もない所へ目的無しで行ったら、何もないに決まってるじゃん。無理してエピソード作ろうと思えば出来るけど、俺ら物書きでもないのにそんな事する必要ないよな。」
そういえば、坂田さんも現地での面白いエピソードは沢山話してくれましたがそれらを「現地の人とのふれあい」なんて表現はしませんでした。
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